安房の高校から支援活動20年
交流の像、ウガンダへ
(読売新聞2015.2.21付)‥⇒印刷用PDF
ウガンダの首都にこのほど、館山市の彫刻家が制作したブロンズ像が建てられた。安房地域の高校生がウガンダに対して20年続けている寄付、交流活動の象徴だ。支援の仲介窓口を務めてきた旧安房南高校の元教師愛沢伸雄さん(63)(館山市)に届いたメールには、像を囲む大勢の子どもたちの写真が添付されていた。
(笹川実)
支援活動が始まったのは1994年。南高の教師だった愛沢さんが、来日中のウガンダの男性と出会ったのがきっかけだった。
ウガンダの男性は、エイズ孤児の救済活動をするNGO「ウガンダ意識向上協会」のスチュアート・センパラ代表(57)。ウガンダの内戦やエイズ流行を知った愛沢さんのアドバイスで、生徒会が支援を呼び掛け、衣料品や学用品を送る活動が始まった。南高が安房高校に統合された後も続き、さらに安房西高校へと引き継がれている。
昨年9月には、3校の生徒や卒業生らが交流会を開催。旧安房南高の元美術教師、船田正廣さん(77)(館山市)が、高さ108センチのブロンズ女子生徒像を記念碑としてウガンダに贈ることを申し出た。
昨年12月、航空便が利用され、料金は安房西高の募金やバザーの収益金などが原資となった。像を建てる場所になったのは、ウガンダの首都カンパラの職業訓練施設「安房南洋裁学校」。旧安房南高の生徒らがバザーなどで集めた支援金で2000年に開設された施設だ。
センパラ代表からの報告は今年1月、愛沢さんにメールで届いた。添付された礼状は「館山との出会いは、恵まれないウガンダの子どもたちにいい影響を与えている。像は、結ばれた心そのものだ」とつづられ、像の周りに集まったセンパラさんと現地の子どもたちの写真も添付されていた。
「支援の証がいい場所に建った」と船田さん。愛沢さんは「民間の交流、支援は無理のない範囲で、今後も続けたい」と話す。
昨年、支援活動20周年記念誌「20年のあゆみ」が刊行された。旧安房南高卒業生の「支援は自分のためにもなった。活動のがんばりが社会人のいま、励ましになっている」との経験談が掲載されている。