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医学生理学賞の大村さん、青木繁顕彰に尽力

世のため、美術のためにも

(西日本新聞夕刊2015.10.7付)‥⇒印刷用PDF


5日にノーベル医学生理学賞に決まった大村智・北里大特別栄誉教授(80)は女子美術大の名誉理事長で自ら設立した韮崎大村美術館の館長でもあり、美術界への貢献も大きい。九州ゆかりの画家とも関わりが深く、NPO法人「青木繁『海の幸』会」(川崎市)の理事長として、日本近代洋画で強い輝きを放つ福岡県久留米市出身画家の顕彰に尽力してきた。

「海の幸」会は、青木が滞在し代表作「海の幸」を描いた小谷家住宅(千葉県館山市)の修復保存活動に取り組む。毎年チャリティー絵画展の収益の一部を修復基金に充てている。同会が2010年、画家らを中心に設立された際、美術に造詣の深い大村さんに理事長の白羽の矢が立った。大村さんは「(小谷家の)部屋にたたずむと、青木繁、坂本繁二郎などの青春群像が立ち現れてくるような思いにかられます」と設立にあたり言葉を寄せている。

同会事務局長で画家の吉岡友次郎さん(78)=久留米市出身=は「理事長を引き受ける前、まず小谷家へ足を運ばれ、何より現場を大事にされる方だと感じた。各美術団体を超えて集まっている画家たちの話を、よく理解してくださる」と横顔を語る。同会理事を務める洋画家、大津英敏さん(72)=福岡県大牟田市出身=は「青木繁は若くして亡くなった。韮崎大村美術館に若い美術家の作品を積極的に収蔵し活躍を応援するのも、青木の姿を重ねているのではないか」と話し、同理事の洋画家、中山忠彦さん(80)=北九州市出身=も「私財をNPOの活動に投じている。青木繁への敬意が伝わってくる」と語る。

同会とも交流がある久留米市の「青木繁旧居保存会」荒木康博会長(65)は「美術関係の方と思っていたので、ノーベル賞と聞いて驚いた。小谷家の保存活動が勢いづくといい」と期待している。

15年10月7日 13,893

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