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館山で医療シンポ、旧沢内村の加藤医師講演

「健康教育で生きがい社会を」

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地域医療をめぐる問題を含め、今後のまちづくりのあり方を考えるシンポジウム「癒しの海辺のまちづくり」(安房の地域医療を考える市民の会主催、安房医師会共催)が28日夜、館山市の南総文化ホールで開かれた。

岩手県の旧・沢内村(現・西和賀町)で故・深沢晟雄村長とともに「生命尊重行政」を進めた加藤邦夫医師(79)が約200人の聴衆を前に基調講演。「高齢者が生涯現役で働ける、生きがいのある社会」実現のため、「住民自身が医療・健康についての知識を高め、医師は住民への健康教育を重視することが大切だ」と語った。

加藤氏は昭和35年、「豪雪・貧困・多病多死」に悩む沢内村に赴任。その翌々日に「吐血した人がいる」との連絡で往診に出たが、現場には除雪されていない道を2時間歩いて行かねばならず、到着すると既に患者は死亡。山間地域の厳しい現実を目の当たりにした。

「当時医療費は50%患者負担。病人はごろごろいたのに、経済的な理由で医者に行かない人が多くいた」。こんな事情を背景に、沢内村は乳児と60歳以上の医療費全額負担を決断。加えて健康増進・疾病予防対策を重視した「包括医療」を推進し、昭和37年には全国初の乳児死亡率ゼロを達成した。

加藤氏は講演で、全額公費負担で一時的に医療費が増大して国民健康保険料が上がったものの、村民の疾病率が減少したことで、後に保険料は下がったと指摘。また、高血圧の受診体制を充実させることで、脳卒中の患者が減少したことを紹介し、「予防に力を入れれば医療費は減っていく」と強調した。

深沢村長の功績については「口だけで理想を語るのではなく、実際に財政措置をした。村の自主財源はわずか10%ほどだったが、村長はその大半を医療・健康対策に投入した」と語った。

シンポでは「癒しのまちづくりの夢を語ろう」と題したパネル討論も実施。松永平太・松永医院院長、愛沢伸雄・安房の地域医療を考える市民の会呼びかけ人代表、高野良裕・前館山病院院長、福留強・聖徳大学教授の4氏が、それぞれ看護師不足問題や高齢化する社会への対応策などについて発言した。

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=パネル討論の内容は、発言要旨を後日掲載する予定です=

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(房日新聞2010.4.30付)

10年4月30日 8,048

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