戦火逃れた友好の証
青い目の人形「メリー」展示 19日から 館山市立博物館
昭和初期に日米関係の悪化を懸念し、友好の証しとして米国から贈られた「青い目の人形」のうちの一体「メリー」が、館山市立博物館本館で19日から6月8日まで公開されることになった。関連行事で、メリーにちなんだ語り部なども予定されている。
「こうした資料は戦争に関する展示会で公開されることが多いが、普段から平和について考えるきっかけになれば」(同館)と、収蔵資料展に合わせて展示することにしたという。
青い目の人形は、京都帝国大学などで英語を教えた米国人宣教師、シドニー・ルイス・ギューリックが、日米間の緊張を文化交流で和らげようと、帰国後の昭和2年、全米に呼び掛け日本に贈った1万2739体の親善人形。日本からは答礼に日本人形58体を贈った。
大戦中に大半が処分され、現存が確認されているのは全国で324体。県内には11体あり、安房地域では館山小、富浦小、東条小分の3体が残っている。
メリーは、当時の館山小校長から富田文枝教諭に託された人形で、押入れの奥で憲兵の目を逃れ、現在は富田教諭の親族が保管している。過去には旧県立安房博物館で展示、紹介されたことがあるという。
関連行事は5月6日と31日のそれぞれ午前11時からと、午後2時から。6日は語り部「さくら貝」の松苗禮子さんによる語りで「富田先生の青い目の人形」、子供の文化研究所の宮崎二美枝さんによる紙芝居で「原爆の子・さだ子の願い」。31日は松苗さんによる語り「富田先生の青い目の人形」と、紙芝居「小沼の花咲和尚さん」となっている。
観覧料は一般300円、小中高生150円。
【写真説明】公開される青い目の人形「メリー」