愛沢氏に文化財保護功労
稲村城跡保存の功績で
(房日新聞2012.11.23付)
戦国大名の城跡である館山市の「稲村城跡」の保存運動に取り組んでいるNPO法人安房文化遺産フォーラムの愛沢伸雄代表(61)=同市小原=が、県文化財保護協会から文化財保護功労者として表彰された。長年にわたる運動が実を結び、同城跡が今年1月に国史跡にしてされた功績などが評価された。
道路建設計画が具体化し、同城跡が破壊寸前にあった17年前、愛沢氏が代表世話人となって「里見氏稲村城跡を保存する会」を立ち上げ、保存運動を展開。城跡存在の意義や文化的・歴史的価値や重要性を強く訴えてきた。
有志の輪は徐々に広がり、会では定期的な草刈りや展示会、ガイドブックの作成、案内板の製作、現地案内や学習会、冊子の刊行、さらには周辺重要城跡の見学会など、十数年の長きにわたって地道な活動を展開。しだいに市民の理解も深まり、市議会に提出した保存の請願も採択され、道路建設は城跡を迂回する形に変更されるなど、活動は同城跡の国史跡指定への原動力となった。
同市の稲村城跡調査検討委員会委員を歴任。史跡指定を受けて、先ごろ、市教委が発足した「稲村城跡保存・管理計画策定委員会」委員に委嘱され、市民代表として保存・整備計画に取り組んでいる。
愛沢代表は「本来ならば保存する会が団体としてこの栄誉を受けることがふさわしいと思っているが、すでに会は解散しており、その旗振り役であった私が代わって受賞したと受け止めている。これを機に、この地域が持っている多彩な歴史・文化を学びながら、今後も文化財保護の市民活動を地道に続けていきたい」と受賞の喜びを語っていた。