里見氏の城跡、国史跡指定へ、稲村城跡と岡本城跡
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房総半島南部の中世山城、稲村城跡(千葉県館山市稲)と岡本城跡(同県南房総市富浦町)が18日、国の文化審議会の答申を経て、新たな国史跡に指定されることが決定した。2件で1つの国史跡の指定となり、県内では27件目。城跡としては平成10年に指定された本佐倉城(酒々井町、佐倉市)以来、13年ぶり2件目。
ともに江戸時代後期の人気小説「南総里見八犬伝」で有名な、戦国時代から江戸時代まで約170年間、房総半島南部を治めた里見一族の城として知られている。当時の政治、社会情勢を色濃く残す史跡として認められた。
稲村城跡は、文明18年(1486年)ごろ築城されたと推定され、広さは1万8148平方メートルで、内乱の舞台となったこともある。平成8年に市道整備計画が持ち上がり、地域住民が「里見氏稲村城跡を保存する会」を組織、市道を迂回させた経緯がある。18年から、同市教育委員会が史跡認定に向けて活動していた。
同市教育委員会生涯学習課、杉江敬文化財係長は「里見氏というのは館山市の歴史のシンボル。磨きをかけて、市民の誇りになるような保存をしていきたい」と市民の夢の実現を喜ぶ。来年度に保存管理委員会を起ち上げて、発掘調査、関連施設整備を進め、25年度以降、用地取得に着手したいとしている。
一方、岡本城は、東京湾を望む丘陵に造られ、広さは7万6429平方メートルと、房総半島の城の中では抜きんでた規模を持つ。昭和49年に富浦町(現南房総市)の町指定文化財となり、平成19年から本格的な史跡調査をはじめた。
石井裕(ゆたか)南房総市長は「地元だけでなく、国として歴史的価値の高い文化財と認められ、大変喜ばしい」とコメントを発表。今後、用地買収や史跡整備を急ぐとしている。
どちらの史跡も現在は山林やびわの畑が広がるばかり。県文化財課の太田文雄文化財保護室長は「指定しておしまいではなく、時代考証のしっかりした史跡として、観光に結びつけるなど地域経済に役立てたい」と話している。