(房日新聞2010.6.18付)
館山市長選立候補予定の2氏に聞く
◆石神正義氏
「市民参画の仕組みつくる」
—出馬表明が急浮上した印象がある。いつ決断したのか。
4月ごろから要請を受け、5月半ばに決意を固めた。もう少し構想を練るべきと思っていたが、周囲から早くしてほしいとの声を受け、きょうの表明となった。
—里・まち連携で協定も結んでいる中野区副区長の出馬。市民も驚いていると思うが。
昨年までの事業はイベント型。これでは経済効果も人的交流も生まれない。活動の主役を行政から市民や生産者、商業者にバトンタッチし、実利を挙げていくべき。中野から見て、館山はまとまりが見えなかった。
—候補者として、ご自身と金丸市長との大きな違いは何だと考えるか。
行政経験の違い。これまで行財政改革も実際に担当し、自分が市民からチェックされながらやってきた。市民に情報をとことん公開し、痛みを分かち合っていかないと行革はできないことを身にしみている。
—具体的な政策を市民に提示するのはいつか。
あれをする、これをするではなく、今後の市政の道すじや戦略、市民参画の仕組みづくりを中心に9月初旬には発表したい。自治基本条例はぜひつくりたい。
—市民派候補を前面に出すのか。
つくりあげたマニフェストに賛同していただける市議の方とは手を結んでいく。今の時点で一致しているのは市民グループのみだ。これからいろんな立場の人と話をしたい。
—立候補を要請した人たちは、何を最も強く訴えたのか。
医療問題。看護師不足対策に今着手しなければ手遅れになると言われた。非常に重く受けとめた。解決には、この地域全体で連携していくことが重要だ。
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◆金丸謙一氏
「観光と子育て施策進める」
—対立候補の出馬が確定的となり、一騎打ちの選挙戦になる公算が濃厚となったが
対抗馬がどうこうではなく、私自身のこれまでの実績に関して評価を受けることだと真摯に受け止めている。
—立候補にあたり市民に訴えていきたいこと。公約とすべき重点施策は何か
いまの館山市が取り組むべき重要課題は「観光」だと思っている。ひと口に観光といっても裾野が広く、農漁業をはじめとしたあらゆる産業振興につながるし、職場づくりや移住・定住増へと発展するポテンシャルを持っている。それには、すぐに取り組めるものと、これから投資して整備するものがあり、その2段階で進めていく。今できるものとして、スポーツイベントの誘致や特産品づくり、教育・学習旅行の受け入れなどを積極的に展開している。
また、拠点づくりとして、完成した多目的観光桟橋とその基部に整備している渚の駅を核に、城山公園や洲崎灯台、平砂浦海岸、那古・船形方面など観光ポイントを面でとらえた整備を進めていく。
さらに、いままでも推進してきた子育て政策では、新たに保育環境の充実にも力を入れ、子育て世代が館山に住み続けたいと思えるまちにしたい。
—対抗馬を擁立する市民グループは、金丸市政への不満の裏返しとも考えられるが、そのあたりについては
私がこれまで(諸施策の)種をまいてきたことが、市民に分かってもらえなかった、分かり易く発信できていなかったのかなと自省もしている。しかし、厳しい財政のなかで行革を進めつつ、投資もしていく。そのバランスをなかなか理解してもらえなかった。
—相手の候補が高校時代の同級生ということだが
それは致し方ない。とにかく正々堂々と戦っていきたい。