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館山ゆかりの渋沢栄一

新1万円札に 関係者から喜びの声

(房日新聞2019年4月11日付)‥⇒印刷用PDF

政府は1万円札などの紙幣を刷新する方針を固め、1万円札の肖像画には実業家の渋沢栄一を採用すると発表した。渋沢は、現在の館山市船形に虚弱児童の転地療養施設を開設し、自ら何度も足を運ぶなど同市にゆかりがあり、地元関係者からは「誇りに感じる」「意思を引き継いでいきたい」と声が上がった。

安房地域の歴史などについて調べるNPO法人安房文化遺産フォーラムなどによると、渋沢は明治21年、大倉喜八郎とともに、旧豊津村(館山市)に日本水産会社を設立。館山病院初代院長の川名博夫とは姻戚関係にあるという。

福祉にも尽力した渋沢は、明治42年、同市船形に開設された虚弱児童の転地療養施設「東京市養育院安房分院」の初代院長を務めた。

同分院は現在、児童養護施設「東京都船形学園」として継続運営されていて、敷地内には、大正6年に地元有志によって崖に彫られた渋沢の書による磨崖碑がある(一般公開はしていない)。碑は高さ10㍍、幅6㍍。一文字の大きさは30㌢四方で、房州石に安房分院の由来が刻まれている。最晩年には「天恵豊かな船形で、地元有志の熱心な援助により、児童が健やかに生育しつつある状態を見ることは真に喜びとするところ」と述べたという。

新紙幣の発表を受け、同学園の雨谷真人園長は「脈々と受け継がれてきた意思を引き継ぎ、社会的な役割を今後も果たしていく思いを新たにした」と話していた。

これまでに、渋沢について学ぶ勉強会を開くなどしてきた同フォーラムの池田恵美子事務局長は「近代の安房の産業や福祉の発展に大きな貢献をしてくれた偉人として注目していたので、誇りに感じる。これを機にさらに顕彰していきたい」と声を弾ませた。

【写真説明】東京都船形学園に今も残る渋沢書の磨崖碑=館山

19年4月11日 1,423

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