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旧安房南高第一校舎一般開放
卒業生ら「懐かしい」
(毎日新聞2018.10.31付)…⇒印刷用
昭和初期の木造建築の堅固さと西洋建築の精緻な技巧による美しさをそのまま残し、県の有形文化財に指定された館山市の旧安房南高校の第一校舎が27日一般公開され、多くの卒業生らが懐かしそうに校舎内を見て回った。同校は学校再編で10年前に県立安房高校と統合し、校舎は現在使われていない。保存運動に協力する地元のNPO法人が事務局となり、年に1度、一般公開している。
安房南校の前身は1907(明治40)年に開校した安房郡立女子芸妓学校。その後安房高等女学校などと名前を変え、地域の女子教育の中心として役割を果たしてきた。
木造2階建ての第一校舎は1930(昭和5年)の建築。関東大震災で旧校舎が倒壊した教訓を生かし、日本古来の建築技法に加え、人工石やれんがを組み合わせた「アールデコ様式」の西洋式技法を取り入れた。正面玄関は、翼を広げたような左右対称の美しい外観が特徴だ。
約80年前に卒業した南房総市千倉町の新井喜代さん(100)は介護施設の職員に車椅子を押してもらって訪れた。当時のセーラー服を体に当てて「涙が出るほどうれしい」と昔を懐かしんでいた。
【中島章陸】