小谷家の 修復・保存、目的達成で「海の幸」会解散
都内で式の翌日には有志が館山訪問
青木繁が「海の幸」を描いた館山市布良の小谷家住宅の修復、保存に向け、全国の画家で組織した「NPO法人青木繁『海の幸』会」(大村智理事長)が、当初の目的を達成したとして、22日に東京都内で解散式を行った。翌23日には、会員有志が館山を訪れ、公開されている小谷家を見学した。
海の幸を生んだ小谷家を後世に残そうと、全国の画家、美術関係者で平成22年に発足した団体で、ノーベル賞受賞者の大村氏が理事長。
小谷家、地元保存会、市と協力、連携して修復、保存に向けた運動を展開。会では広く全国に向けて寄付を呼び掛け、全国の画家に協力を求めたチャリティー巡回展などでも資金を集め、地元保存会の募金、市の補助金を合わせて、管理棟建設を含めた総工費4300万円を集め、修復、公開を実現した。
同会によると、会の運動に賛同した会員は約700人。大村氏も個人で多額の寄付、石橋財団も1200万円助成しており、同会の呼び掛けで集まった寄付は約3500万円になるという。
小谷家は2年がかりの修復で平成28年4月、「青木繁『海の幸』記念館」としてオープン。1月末現在で来場者は5000人を超え、多くの訪問客でにぎわいをみせており、会では当初の目的は達成したとして、活動をまとめた記念誌発行をもって解散した。
大村理事長に感謝状を手渡す金丸市長=都内で
解散式は「快燦会」の名称で都内であり、大村理事長ら130人が参加。式には館山市の金丸謙一市長も出席し、「海の幸会の活動なくして、小谷家の修復はできなかった」と謝辞を述べ、大村理事長に感謝状を手渡した。
翌日には、当初から活動に関わる同会の吉岡友次郎事務局長、吉武研司理事ら会員有志14人が、小谷家を訪れた。吉岡事務局長は「吉武さんとこの地に訪れ、保存をしたいと動き出し、18年になる。小谷家が修復され、このような形で公開され、こんなにうれしいことはない。青木繁も喜んでいるはず」と笑顔。
解散にあたり「(小谷家を修復するという)会の目標は達成し、ここで句読点を打つことになった。会員には記念誌を配布し、地元の保存会への協力をお願いした。今後は会員が個々に保存会のメンバーに加入し、地元の保存、管理を支援する形にしたい」と語った。
現当主で記念館館長の小谷福哲さんは「皆さんのおかげでここまで来る事ができた。会員の皆さんの思いを受け止め、今後も末永く、保存、公開の活動を続けていきたい。訪れた人に、青木がここにいて、海の幸を描いたという雰囲気、空気を感じてもらえるようにしたい」。先代の小谷栄さんは「修復され多くの方に見に来てもらって、うれしいね」と喜んでいた。
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【写真説明】小谷家を前に記念誌を手にする海の幸会や地元の関係者ら=館山市布良で
【写真説明】大村理事長に感謝状を手渡す金丸市長=都内で