
◎旧軍都で語る「いのち」
…7月10日文化ホール「無言館」館主が講演会
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生を断ち切られるまでキャンパスに向かい続けた戦没画学生たちの作品を収蔵・展示する長野県上田市にある美術館「無言館」の窪島誠一郎館主を迎えての後援会が7月10日、館山市の県南総文化ホール小ホールで開催される。かつて軍都であった館山の地で、画学生たちがいまに残すいのちの叫びを窪島誠一郎館主が語る。入場500円で午後6時から。
無言館は、信濃デッサン館を主催する窪島さんが、戦時中に東京美術学校を繰り上げ卒業して満州に出征し、病のために復員した画家の野見山暁治さんと全国行脚して当時の画学生たちの遺作を収集。全国から寄せられた篤志をもとに平成9年、デッサン館に隣接して開館した。以来、異色の美術館として脚光を浴び、年間10万人を超える入館者を集めている。
講演会は、同館を訪ねた地元の画家・溝口七生さんや、溝口さんと一緒になって平和のための美術展を開いてきた年金者組合安房支部長の橋本芳久さん、地域の戦争遺跡保存に取り組むNPO代表の愛沢伸雄さんらが、「その感動を伝えたい」と実行委員会を組織して企画。地域の文化人やあらゆる団体に呼びかけ、多忙な窪島館長との日程調整を経て実現にこぎつけた。
館山市には戦時中、館山海軍航空隊のほか洲崎海軍航空隊、館山海軍砲術学校の3部隊があり、学徒出陣で多くの予備学生も集められた。当然、少なからずの画学生たちもおり、現に何人かの作品が無言館に展示されている。
「その館山の地で平和にいまを生きる私たちはどう受け止めるべきか考えてみたい。それが、彼らへ捧げるレクイエム(鎮魂歌)になるのではないでしょうか」と実行委は多くの来場を呼びかけている。入場チケットは南総文化ホールで扱っている。問い合わせは、事務局の橋本さん(0470—29—1290)へ。
【写真説明】無言館の窪島誠一郎館主
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・和島誠一賞受賞〜文化財保護の功績を評価
・受賞挨拶=代表:愛沢伸雄
・韓国ソウルと鳥取倉吉で講演会
・小高記念館で知恵袋講座
・無言館・窪島誠一郎氏講演会
・安房反核フェスティバル
・船田正廣:古希記念展
・第5回安房・平和のための美術展
・アメリカ占領軍の館山上陸シーン映写会
・愛沢綾子回顧展
・ウミホタル合唱団安房
・ツアーガイドのスケジュール
・国交省「新たな公」モデル事業採択
■詳細は下段のPDFファイルをご参照ください。


●第10回和島誠一賞受賞挨拶●
…NPO法人安房文化遺産フォーラム代表=愛沢伸雄…
(文化財保存全国協議会第40回京都大会2009年6月14日 於:同志社大学)
本日はこのような名誉ある表彰を賜り誠にありがとうございます。NPO法人安房文化遺産フォーラムを代表いたしまして、深く感謝申し上げます。全国には遺産保存に顕著な功績をあげている団体が数多くありますが、このなかで私たちのNPO活動を選定していただき、大変光栄に思っています。
この20年余、地域の戦争遺跡や里見氏城郭群の保存・史跡化への取り組みにご支援ご協力いただいた、文化財保存全国協議会をはじめ戦争遺跡保存全国ネットワークの皆様や全国のさまざまな文化財保存の関係団体の皆様に対し、この場をお借りしまして深くお礼申し上げます。
また、このたびの光栄ある受賞を地域において保存運動を支えてくださった方々に、とりわけこの間にお亡くなりになった方々に対して、この受賞をご報告するとともに、あらためて深く感謝を申し上げます。里見氏稲村城跡の保存では1万名をこえる方々の署名があって破壊がまぬがれました。そして14年目に入って、現在、国指定史跡にむけて調査検討されています。私もその委員の一人です。
嬉しいことに本日6月14日は、稲村城跡のある館山市の稲地区町内会において、保存活用に関する委員会が設立され、その総会が開催されていると聞きます。偶然にも本日の受賞の日を境に新たな段階をむかえ、私たちが願っていた地域の人びとによって後世に伝え、残していこうという動きが始まったことをご参加の皆様にご報告できることをとても喜んでいます。
かつて「いったん決めたことはもう後戻りできない。保存運動はこまる」と語っていた地域の人びとが、いまは自らの力で保存・活用に立ち上がったことに対し、敬意を表するとともに、今後とも同じ志をもつ市民として、ともに手を携えて地域づくり活動のなかで連携していきたいと思っております。
ところで私は20年前の1989年に、館山市内にある売春防止法に基づく、障害を持った女性たちのための日本では唯一の女性保護施設「かにた婦人の村」を初めて訪問しました。施設内の丘の上にある「噫従軍慰安婦」石碑と丘の中腹にある本土決戦の抵抗拠点であった地下壕を見学し、大きな衝撃を受けました。そのときに「かにた村」創設者であった深津文雄牧師との出会いもありました。女子高で世界史を教えていた私は、深津牧師から伺ったさまざまなお話によって、地域に根ざした歴史教育や平和学習に取り組むきっかけとなりました。女性史の視点から戦争のもっている意味を学ぶことができる丘の上の石碑と、「戦闘指揮所」「作戦室」という額のある本土決戦のために地下壕は、授業実践のなかで重要な教材になりました。
当時、戦争遺跡は地域開発のもとで次々と破壊され、またゴミ捨て場にされていきました。以来、多くの市民の方々のご協力をいただき、調査研究をつづけ、「戦後50年」の際は200名近くの市民と「平和を考える集い」実行委員会を立ち上げ、さまざまな取り組みを企画し、同時に戦跡の保存を訴えてきました。このことが契機となって市民による戦跡調査保存サークルが公民館活動に生まれ、今日の私たちのNPOによるガイド活動の原点になっていきました。
戦跡の保存をすすめているなか、1996年に里見氏稲村城跡が市道によって破壊される直前にあると知り、急遽呼びかけて50名ほどの市民たちによって「里見氏稲村城跡を保存する会」を設立しました。私は「地域のシンボル的な里見氏の文化遺産を守れなくて、戦跡などの保存はありえない」と思い、戦争遺跡の保存に協力していただいている方々に、戦国期の戦争遺跡である稲村城跡の保存を訴えて協力を願ったのです。まったく異なった歴史文化でしたが、私にとって両方が地域の貴重な文化財であり、2つの保存運動を並行してすすめていくことが両方の文化財保存にとっても重要と思ったのです。「地域活性化のために道路は必要、稲村城跡が無くなっても仕方がない」「戦跡は暗くて、花の房総のイメージに相応しくない」など強い風当たりのなかで、保存はもちろん史跡化にいたっては「100年経っても無理」と揶揄する行政担当者たちと対峙していました。
そのなかで2004年に「館山海軍航空隊赤山地下壕跡」が整備され一般公開され、翌年には市指定の史跡となり、この戦争遺跡が平和学習の拠点として、まちづくりのなかに位置づけられたときには隔世の感をもちました。
これらのことを振り返るとき、市民が主役になって文化財保存運動を作り上げていくために、文化財保存全国協議会の取り組みに学びながら、私たちの住む地域の人びとの思いや願いを踏まえて、自分たちの身の丈にあった文化財保存運動を地道にすすめていきました。私にとって「かにた村」の深津牧師から学んだ「余ったから分けるというのではなく、無くてもお互いに分かち合うコミュニティをつくっていく」という地道で息の長い地域づくりの実践活動のひとつが、地域にある文化財を保存・活用していく取り組みにあったと思っています。私の場合は子どもたちとつくってきた授業づくりが原点になって、学ぶ力を市民が主役になった地域力にし、さらにNPOの市民力につなげて文化財の保存・活用の道を切り開いてきました。
南房総・安房出身の教育学者和田修二先生は「人間は現在だけでなく、過去と未来との間に生きる存在」なので、「過去に守るに価する大切な思い出をもつこと」「未来に向かって為すべき課題をはっきりと自覚すること」によって、今を生き抜く希望と勇気の支えとなるといい、この2つを「大人の世代が日常生活の中で身をもって若い世代に教えること」が教育の基本であると述べています。多分、市民とともに歩む文化財保存運動を呼びかけてきた先駆者和島誠一先生もそのことを私たちに投げかけてきたのではないかと思っています。自分たちの頭で考えて、借り物でない確かな自己の立場と思想をもって、あらためてNPO活動に邁進したいと決意しています。
最後に私事で誠に恐縮ですが、本日6月14日は次女綾子の25歳の誕生日です。娘は昨年7月8日に脳の病気である統合失調症での稀死念慮に苦しみながら、遺書を残して自死しました。大学2年生20歳の年に発病して4年間、ときに絵画制作やNPO活動に参加し自宅療養を続けていました。このこともあって、私は高校教員を8年早く辞め、娘を看ながらNPO活動に専念してきました。まちづくりのなかで取り組んでいた「まちかどミニ博物館」のひとつとして、ある病院内にミニギャラリーをつくった際に、第1回目の個展開催は娘綾子が協力してくれました。NPOではどんな人びとも参画できる地域づくりを呼びかけていますが、「かにた村」のように障害があっても人間らしく生きていく地域社会の創生が私たちNPOでの願いです。
娘の24年間の短い人生は、私の文化財保存運動の軌跡そのものでした。全国には息の長い保存運動のなかで、いろいろな困難、なかには家族のことを含めて大きな困難を抱えながら文化財保存に取り組んでいる方々も多いと思います。私もつらく悲しい思いでしたが、娘綾子が私の背中を押してくれたことで、今日という受賞につながったと思っています。本日は本当にありがとうございました。
※和島誠一賞の受賞に関する掲載記事はこちら。
==房日新聞09.06.18==読売新聞09.06.24==


赤山地下壕、龍のレリーフのある地下壕とも、戦争のためにつくられたものが、地域の人たちによって掘り起こされていることに、大きな力と尊敬の念を感じています。
それは過去ではなく、今も又計画的に着々と進む軍拡が、九条の撤廃を許したら一気に進もうとしている現実をも見せられているように感じました。
そして、すばらしい歴史と文化を学ぶことが出来、青木繁「海の幸」、中村彝「海辺の村(白壁の家)」にも会えて(?)、心豊かな時間を過ごさせていただきました。
本当にありがとうございました。


このたびは本当にお世話になりました。
細かいところまで気を使っていただいて、たった二日なのに
本当に充実した学習ができました。
百聞は一見にしかず、しかもちゃんとした説明を聞かなければ
絶対わからないことよね、など、賑やかに帰りました。
80歳に近いかたも3人いて、疲れたのでは、と心配でしたが
なんのなんの皆元気いっぱい、次の学習は?と夢が広がります。
映画会はきっと選挙後に計画したいと思っています。
またお付き合いください。
磯部さんには県本部を通じてお礼状を送ろうと思いますが
お会いすることがあれば、どうぞよろしくお伝え下さい。
とりあえずお礼まで。本当にありがとう御座いました。
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その節は本当にお世話になりました。
短い時間にたくさん案内を、と努力していただいて、
私たちもいっぱい学習させていただきました。
日本地図を逆さに見るというのは、目からうろこ、
なるほど房総半島の果たす役割が明確になります。
太平洋に面した海の守りであり、漁業の拠点であり、
海外との文化交流の窓口として大切なところだったんですね。
歴史の中で点々と耳にする地名と名前が
この房総半島でつながっていたのが面白かったです。
歴史の勉強はこうあるべきですよね。
戦跡については言わずもがな、
沖縄、松代を歩いて第三の重要地点。
百聞は一見にしかず、行ってよかったです。
もちろんガイドがなければ、通り過ぎてしまうような箇所ばかりです。
ますます皆様のお仕事は大変になるのでは、と思いますが、大切な事です。
どうぞお体に気をつけて、頑張ってください。
平和教育は戦争体験者が少なくなるこれからが正念場、私たちももちろんがんばります。
『赤い鯨と白い蛇』という映画については、秋に取り組みたいと思います。
選挙が一段落したら、と考えています。
その折は又、相談にのって下さい。
磯部さんにも心のこもったおもてなしをして頂いて、新婦人は全国ひとつの親戚、
とみんな喜んでいました。
またきっとお会いしましょうとお伝えください。
...2009年7月10日



◎館山のNPO「和島誠一賞」受賞
…戦争遺跡、城跡の保存評価
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館山市のNPO法人「安房文化遺産フォーラム」(愛沢伸雄代表)が、文化財保護に功績のあった個人・団体に贈られる「第10回和島誠一賞」を受賞した。館山市の赤山地下壕をはじめとする戦争遺跡や里見氏稲村城跡などの保存と、その歴史的意義の普及に取り組んだ活動が高く評価された。
この賞は、文化財保護思想の普及に努め、神奈川県三殿台遺跡などの遺跡保存に取り組んだ考古学者・和島誠一(1909〜71)の功績をたたえ、文化財保存全国協議会(事務局・大阪市)が2000年に設立した。
同NPOは、安房地域の戦争遺跡の調査・保存などに取り組む市民有志らが設立母体で、その活動は1989年から続いている。
昭和戦争中に「海軍のまち」といわれた館山市の歴史を掘り起こして、平和学習への活用を進めたほか、96年には里見氏稲村城跡の保存運動に取り組み、1万人を超える署名を集めて、当初城跡の上に計画されていた市道建設ルートの変更を実現させた。
愛沢代表は「地域のシンボル的な里見氏の文化遺産を守れなければ、戦争遺跡などの保存もあり得ないと思い、2つの保存運動を並行して進めてきた。市民がつくりあげたものが評価されたのだと思う」と受賞の喜びを語った。
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政労連関東ブロックセミナー
反戦平和学習会チーム報告内容
(反戦平和学習会での各グループの発表要旨)
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【1班】
・韓国の漁師の方々が「海に生きる男」として日本の漁師を助けたエピソードに感動した。
・千葉に反戦施設があったことを知らなかった。
・日本のアワビ漁師が米国に渡った逸話があったことに驚いた。
・講演をしてくださったNPO法人の方々のご苦労が伝わってきた。
・戦争の歴史があって現在があることを再認識し、歴史を伝承することの大切さを感じた。
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【2班】
・反転図は非常に大きな発見であり、千葉県の大切さが伝わってきた。
・千葉県に非常に長い歴史があることを知って驚いた。
・500年前、江戸時代、里見氏の時代、アワビ漁師のエピソード、千葉県が戦争中に拠点となっていたについて深堀して調査されていることは非常に素晴らしい。
・一人一人の行動を伝えることの大切さを再認識したので、今後に活かしていきたい。
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【3班】
・アワビの大きさに驚いた。
・歴史の証拠となるものを保存していくことは素晴らしい。
・千葉県の戦争へのかかわりの深さを初めて知った。
・講演をしてくださったNPO法人の先生が素晴らしかった。
・大変勉強になったので、今後の組合活動にも活かしていきたい。
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【4班】
・ぜひとも現地に見に行ってみたくなった。
・千葉にこれほど多くの戦争遺跡があることに驚いた。
・講演の中で紹介のあった映画を観ることのできる機会を作って欲しい。
・これからも次の世代がこうした歴史を知る機会を作って欲しい。
・組合としてNPO法人をバックアップするための募金活動を行うことも必要ではないか。
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【5班】
・地元の歴史を通じ、新たなコミュニケーションを図っていけるのではないか。
・研究家の苦労が分かった。一つ一つの積み重ねが業務にも活きると思う。
・千葉に限らず自分達の地元の歴史についても調査してみたくなった。
・不安定な世界情勢の現在、戦争を繰り返すことはないか不安になった。
・国と国との話し合いを通じ、お互い理解することで戦争を回避していきたい。
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【6班】
・館山にこのような歴史があったことを知らなかった。
・里見氏の話は興味深かった。
・講演時間の割には内容が盛りだくさん過ぎた。
・戦争と平和は表裏一体だと感じ、現代社会にも通ずると思った。
・二人の講演者の話しの引継ぎのタイミングが絶妙だった。
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【7班】
・地理的な位置づけによって、千葉県が戦争に引き込まれた背景が分かった。
・なぜ戦争に関わらなければならなかったか分かった。
・これを機会に地域の戦跡・史跡を見直し、子供達にもそのような戦跡・史跡を見せてあげたいし、自分自身も実際に目にしてみたい。



●和島誠一賞、安房文化遺産フォーラムが受賞
●文化財保護の功績を評価
文化財保存全国協議会(事務局・大阪市)が設立し、文化財保護に功績のあった個人・団体に授与される「和島誠一賞」の第10回受賞者に館山市のNPO法人安房文化遺産フォーラム(愛沢伸雄代表)が選ばれ、14日に京都市の同志社大学で授賞式が行われた。
全国協議会は、同フォーラムがこれまで手掛けた館山市の赤山地下壕をはじめとする戦争遺跡、里見氏稲村城跡などの保存・活用運動を高く評価。「市民に広く文化遺産の歴史的意義の普及をはかられたこと」を「顕著な功績」とたたえた。
愛沢代表は「われわれの活動だけでなく、安房地域の市民がつくり上げたものを全国が評価してくれたのだと思う。これまでの多くの方々の集会参加、署名の取り組みに感謝している」と喜びを語った。
同フォーラムの設立母体は、1989年に安房地域の戦争遺跡の調査、保存を目的に活動をスタート。太平洋戦争中「海軍のまち」だった館山市の当時の歴史掘り起こしに尽力したほか、戦争遺跡を保存し平和学習に活用する取り組みを進めてきた。
96年には里見氏稲村城跡の保存運動に乗り出し、地域住民との現地ハイクを繰り返すなど粘り強い活動を展開。城跡の上に計画された市道建設ルートの変更を勝ち取るなどの実績を挙げた。
和島誠一賞は、文化財保護思想の普及を広く提唱し、神奈川県三殿台遺跡などの遺跡保存を積極的に進めた考古学者、故和島誠一氏を記念し2000年に設立。これまで長岡京東院の保存運動に尽力した作家の永井路子さん、国立歴史民俗博物館館長を務めた故・佐原真氏、長野県の「松代大本営の保存をすすめる会」などが受賞した。
【写真説明】表彰状を手にする愛沢伸雄代表(右)と池田恵美子事務局長
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