青木繁の洋画「海の幸」描いた家、復元・保存4月着工
館山・布良の小谷家住宅
(朝日新聞2014.2.18)
.
1904(明治37)年に青木繁が洋画「海の幸」を描いた館山市布良の小谷家住宅を復元・保存する工事が4月に着工する。画家らでつくるNPO法人青木繁「海の幸」会と地元の「保存する会」、小谷家当主らが17日、小谷家で協議し、三者で取り交わす覚書の内容を決めた。一般公開は2016年春を目ざす。
協議の結果、工期は2年とし、いったん解体してから瓦や柱などの部材の状態を見極め、実施設計することなどを確認した。
工期はまず、先代当主夫婦の居室を庭に整備し、そこに移ってから母屋を解体する。母屋はできるだけ建築当初の姿に復元する。
当初見込んだ総事業費は3600万円で、「海の幸」会から市へのふるさと納税などを充てるという。
[ .. 全文表示へ ]
研究者ら可能性など探る 「館山まるごと博物館」でシンポ
地域の自然遺産や文化遺産を「まるごと博物館」と見立てるエコミュージアムの手法が、市民による生涯学習として全国的に広がりを見せる中、館山市での取り組みを検証するシンポジウムが2月16日、市内のたてやま夕日海岸ホテルで開催される。この分野の第一人者による基調講演やパネルディスカッションをとおして、取り組みがどんな未来を創造できるのか、その可能性と課題を探る。
20年にわたり文化財保存運動を展開してきた「館山まるごと博物館」の取り組みは、実践的なモデル事例として注目されている。〝平和・交流・共生〟をまちづくりの理念として、文化遺産の保存・活用を呼びかけてきた同博物館の活動は、地域住民の絆を育むとともに、共通の歴史をもつ地域間の連携として、広域「まるごと博物館」のまちづくり交流に発展している。
その活動の中心的役割を担ってきたNPO法人安房文化遺産フォーラムと、青木繁《海の幸》誕生の家と記念碑を保存する会が主催し、シンポジウムを企画。横浜国立大学大学院教授で日本エコミュージアム研究会前会長の大原一興氏を迎え、広く世界を見てきた同氏から「文化遺産を活かしたエコミュージアムのまちづくり」と題して基調講演してもらう。
この後、林浩二(県立中央博物館学芸員)、チョン・イルジ(神奈川大学助手)、杉江敬(館山市教育委員会生涯学習課文化財係長)、愛沢伸雄(安房文化遺産フォーラム代表)の4氏をパネリストに話し合う。
午後1時半〜4時までで、参加無料で興味関心のある市民の来場を呼びかけている。
椿の小原家庭園 午前中に見学会
シンポジウムに先立って、同日午前10時から「椿の館」として知られる同市南条の小原家庭園の見学会が開かれる。参加希望者は、同所の観音寺前に時間までに集合する。
小原家は、築160年の和風建築で、離れは映画「赤い鯨と白い蛇」のロケにも使われた。三代前の当主・小原金治(1859〜1939)は、明治期に県議や衆議院議員を務め、安房銀行(千葉銀行の前身)や房総遠洋漁業株式会社の設立と経営に関わり、安房の近代化に大きな役割を果たした。
その孫の謹治(1910〜1999)は、館山市花となったツバキを700種類育てた研究者として世界に知られ、作付した新種は「布良」「相の浜」「山王」などと名付けられ10種類にのぼる。