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稲村城跡と道路建設問題
1991年、千葉県企業庁は、「かずさアカデミアパーク」構想のもと、企業誘致を図るべく館山インダストアルパーク(館山工業団地)事業計画を決定した。この事業は過疎化解消と雇用確保という半島振興策のひとつで、安房郡市が一致協力して県当局に働きかけて実現したもので、旗振り役の館山は、行政施策の重要な柱として位置付けていた。
稲村城跡問題の発端は、工業団地進入路である市道8042号線が、館山市議会で認定されたときにあった。当初は稲村城跡内を通過しない計画案であったが、道路事情やJR踏切改廃に関わり、高架橋位置の変更が浮上したことで、稲村城跡の主郭部を橋桁にする高架橋方式の計画が策定されたのである。事業推進を急ぐ館山市当局の音頭で、翌年には地元地権者総会で承認され、稲村城跡破壊の工業団地進入路計画が決定していった。
事業計画にそって土地買収や進入路建設工事が進み、文化財保護法にある計画策定段階で義務づけされている千葉県教育委員会との協議も無視されたまま置かれた。1996年3月市議会において、ひとりの議員が稲村城跡問題を取り上げた時点では、すでに館山市当局や市議会、地元地権者のほぼ合意のなか、高架橋と進入路建設は着工目前で、城跡破壊は時間の問題であった。