この度は皆様から暖かいおもてなしを受け参加者一同深く感謝していました。
館山、南房総の奥深い世界に触れ、感慨深いものがありました。スタッフの皆さんの情熱が地域の歴史文化を掘り起こし、地域住民と地域の活性化と言う福留先生のまちづくりの実践モデルを実感しました。
また、恩師成瀬政男先生の顕彰もしておられるとか、私は成瀬先生から直接講義を受け、ものづくりには科学、技術、技能の統合が必要という思想が、私のその後の人生指針となっています。
またいろいろとお話をお聞きしたいと思っています。今後ともご指導、ご協力を宜しくお願い致します。
謹啓
秋冷の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、このたびの視察では、ご多用の折にもかかわらずたいへんお世話になり、心より感謝申し上げます。
貴NPOにおける安房地方の文化、歴史、自然環境の素晴らしさ、そして先人のご功績を広く、深く発信されているお取り組みに学ぶことが多く、参加者一同、深く感激して帰路につきました。
また、ごあいさついただいた愛沢様、ご案内いただいた池田様はじめ、ガイドのみなさま、小谷家のみなさまには、本当にお世話になりました。奥の深い歴史のお話も、わかりやすく、親しみやすい雰囲気で、とても楽しく伺うことができました。
地域の歴史、文化、自然の豊かさ、素晴らしさを資源として活用するためには、その地に暮らす人々がそれらについて深く、楽しく学びながら、その魅力を再発見していくこと、また同時に、地域の外の人たちにも新発見していただくこと、これらの両立がたいへん重要であるということを、今回の視察で深く考えました。
まさにそれら「再発見」「新発見」の機会を提供していくことは、私ども社会教育の大きな使命のひとつであると、あらためて認識いたしました。私どもも、今回の視察で学んだことをさっそく地元に伝え、今後の活動に生かしていきたいと思います。
幸い、貴安房地方と当地方はお隣り同士ですので、これをご縁に今後とも一層の交流をさせていただければありがたく存じます。
また、当地方にお越しの際は、何かお役にたてることもあるかと思いますので、ぜひお声かけいただければ幸いです。
あらためて、このような機会をいただきましたことに、深く感謝申し上げ、みなさまのますますのご発展を深くお祈りし、略儀ながら、まずは御礼とさせていただきます。敬白
館山のNPO、ヘリテージまちづくり講座
古文書の保存活用学ぶ
館山市のNPO法人安房文化遺産フォーラム(愛沢伸雄理事長)と、青木繁《海の幸》誕生の家と記念碑を保存する会(嶋田博信会長)による「ヘリテージまちづくり講座」が開かれている。ヘリテージとは文化遺産のことで、文化庁の「地域の文化遺産を活かした地域活性化事業」の助成を受け、全5回で開催。先ごろ、同市富崎公民館で第2回目が行われ、市民ら34人が参加した。
近年、青木繁が滞在した布良の小谷家住宅や南条の小原家住宅から、明治期以降の資料が大量に発見され、近代水産業の発展に重要な関わりがあったことが分かってきた。これらの古文書をどう扱い、整理して調査していくかを学ぶため、地域史料保全有志の会代表を務める中央学院大学准教授の白水智氏を講師に迎え、「漁村資料の保存管理と活用」と題した講座を開いた。
白水氏は、長野県栄村で10年以上にわたり、山村の歴史文化を紐解く古文書の研究に携わってきた。同村は、東日本大震災の翌日の2011年3月12日に付近を震源とする震度6強の地震に見舞われ、甚大な被害を受けた。震災の一月半後に現地入りした白水氏らは、次々と解体され、廃棄物として処理される古民家や土蔵を目の当たりにし、文化財の損失に危惧を覚え、すぐに地域史料保全有志の会を発足し、そこに眠っていた文化財の救出活動を開始した。
置き場所の確保などの問題を一つ一つ乗り越え、活動報告会などを通して、子どもから高齢者まであらゆる世代の村民に「文化財を守ること」の理解を促した。今では、自治体の協力を得て、小学校の旧校舎を村の文化財保管庫にすることが認められ、将来的に村の歴史と文化の拠点施設にする流れを形成した。
白水氏は、「古文書や古い資料は家族写真と同じ。風景や人々の技術、生活の知恵や人間関係のかたちを残す地域のアルバム。その大切さに気づいたときに、文化がその地域らしさとして次の世代に受け継がれていく。震災後、生活基盤が復旧するだけでは、人は生きていかれない。文化が復興して初めて地域の復興につながると実感した」と、文化財保存の重要性を力説した。
講義後には、古文書に接する際の注意点などを解説。実際に明治期の文書類を仕分けし目録を作る実習を行った。参加者はその重みをかみしめた様子で、「この話を多くの人に伝え、押し入れの古い資料を捨てないように広めていきたい」と話していた。
【写真説明】文化財保全の重要性を力説する白水氏(中央)=富崎公民館