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『かにた便』100号より転載

コロニー?

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この頁を担当していた文雄は、もういません。彼の願っていたように、管理棟2階の住み慣れた部屋で、最後の日々を生き続けて、逝ってしまいました。7月11日、「ゴム管に繋がれているなんて—」と、6回目の点滴を拒否してからは、ほとんど、食べたり飲んだりもせず、それでも電動ベッドにワープロを乗せていました。最期まで、並べた鉛筆やルーペ、眼鏡を眺め、私の吹く大好きな「ラ・パロマ」の音が甘いといって、目だけで文句をつけていました。

かにた便100号の巻頭言は「コロニー?」という題でフロッピーに入っていました。が、未完でした。

彼が、最後の日々に、くり返し話していたことは「赦し」です。病室で、まとまりのないまま、しかし、ゆっくりと言葉を選んで語り続けた中から、彼がコロニーにどんな想いを抱いていたかをお伝えしましょう。「夢見る男」といっていた彼の夢を、私たちも追い続けるために。

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夢とは「こうありたい」と願うこと、

それが実現すること。

そこで起こったコロニー運動。

これがバカにならない。

本人は「実現しなかった」なんていっているが—。

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そこへ行くと、寮生が喰いたいものを喰っている。

ぜいたくでなくてもいいんだよ、

安いものでも、希望献立が出てくる世界。

そして、手厚い看護を受けている。

寮生の受ける希望と、やさしい取り扱い。

ゆるし。日々起こっている、赦しの事実。

かにたというところの素晴らしさ。

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実際には、ここで、してはいけないことはある。

けれども、それをやってしまう。

けれども、それを赦してやる。

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マイナスの落第生

落第生の入れるコロニー

落第生から入れるコロニー

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Oさんなんか毎日おもらしして赦されている。

あれは素晴らしいこったね。

なぜ?なぜ素晴らしい?

かにただけ、はじめから、赦しがある。

底点の、赦されない者が、赦されている。

死んでしまえ、と、人が思っている、

それを「いけません」と

神さまは生かしておおきになる。

—7月1日昼、かにた便100号のために—

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おじいちゃんは90歳をすぎて、もう91歳。

でも、誕生日のお祝いは、いりません。

儀礼は大きらいです。

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戦争したり、悪いことしちゃいけませんよ。

目に見えない天地の造り主は存在して、必要な時に助けてくださいます。

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やさしーい、人をバカにしない、

それが、今度ぼくが書いた新しい本です。

聖書よりも喜んで売れるでしょう。

ぼくは売るつもりで書いたんじゃないけれど、

大泉では、いま毎日曜日にあれを読んで聞かせているということです。

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今度、大貫隆という人が訪ねてくるでしょう。

そして、日本聖書学研究所50周年ですね。

僕の家で始められてから。

もうぼくの生きていることを忘れているんですが。

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聖書を絶対視しないで、こういう本もある、という位にして。ことに、パウロでなく、ジェシュア。この人が、あなたにとって大事なのです。この人がもし生まれてこなかったら、私たちにこんなしあわせはなかった。「世の終わりまで、わたしは一緒にいてあげる」と言った。

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みんなは、神さまはいない。ジェシュアはただの人で何の意味もない、と言っている。私のように自分で一番のお手本にしている人もいる。エスさまは、「私もあなたを罰しない」と、おっしゃった。「私は仕えられるために来たのではない。仕えるために来たのである。」と、おっしゃった。

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お互いに隣人を助けてあげる、

弱い者を助けてあげる、

そういう生活をしなければならないですね。

それさえわかれば、別に形式的な礼拝をしたり、

わざわざ教会に行って、献金したりすることないですよ。

もう、おやすみをしましょう。

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—7月16日夜、孫の園子の手を抱いて—

(塩川成子)

11年3月10日 15,786

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