人類が二度と戦争の惨禍を繰り返さないことを願って1945年に創設された国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の憲章前文には、「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中にとりでを築かなければならない」と謳われています。
アジア太平洋戦争の重要な軍事拠点であった南房総・館山には、1945年9月3日に米占領軍が上陸し、「4日間」の直接軍政が敷かれました。日本がユネスコに加盟する1951年に先駆けて、平和を希求した人びとの尽力により、1948年に千葉県内初の館山ユネスコ協力会が誕生しています。地域から「平和の文化」をつくる運動が始まるなか、’51年には館山ユネスコ保育園を設立されました。後に特定の組織が「ユネスコ」を冠することは禁じられたため、館山には世界でただひとつ「ユネスコ」の名がついた保育園が今なお運営されています。
ユネスコの世界遺産条約には、世界の人びとが異なる歴史や文化を互いに尊重し理解し合うことで、世界の平和発展の礎にしようという理念があります。私たちはこの精神にならい、安房地域に残る戦争遺跡などの歴史・文化遺産を後世に保存し、先人たちの培った〝平和・交流・共生〟の精神を学ぶとともに、これらを活かした地域づくりを目ざしてNPO法人を立ち上げました。
■ ユネスコの提唱する「平和の文化」
国連は、1986年を「国際平和年」と定めるとともに、ユネスコは国際平和会議を開催して、人間こそが平和をつくっていく主人公ととらえ、人間に対する限りない信頼と希望を宣言しました。
1989年、「人の心の中の平和に関する会議」において、初めて「平和の文化」という概念が提唱され、改めてユネスコ憲章精神が見直されました。
1995年のユネスコ総会では「平和、人権、民主主義のための教育宣言」を採択し、1997年国連総会の決議によって、2000年を「平和の文化・国際年」と定め、翌2001年から2010年までを「世界の子どもたちのための平和と非暴力の10年」と決議しました。
「平和の文化」理念は、平和へのアプローチを人間中心において、「平和の砦を築いた人間に平和の創造を期待しています。そして、生命の尊厳や人権尊重を基盤にした「平和の砦」を自らの心に築いた人間同士が連帯し合うことを求めています。
国連総会が「平和の文化に関する宣言」を採択した際に、ユネスコでは世界に向けて「平和の文化」を築いていくとは、一人ひとりにどんなことを願っているかを「わたしの平和宣言」で示しました。
①わたしはすべてのいのちを尊敬します。
②わたしは暴力を否定します/使いません/許しません/なくします。
③わたしはみんなと分かち合います。
④わたしはわかるまで耳を傾けます。
⑤わたしは地球環境を守ります。
⑥わたしは連帯を再発見します/再構築します。
09年2月3日 
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