◎ 布良(めら)
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地名の語源は、海草(布)が繁茂する浦=布浦(めうら)とも、和歌山県の目良(めら)あるいは伊豆の妻良(めら)の住人の移住にちなむともいわれています。近くには、縄文海進による海食洞穴が、長い年月の隆起のため標高23.5mにあります。幕末には沿岸警備のため3門の砲台が設置されました。神社は安房開拓神話にまつわる布良崎神社、駒ヶ崎神社、寺院は龍樹院と本郷・阿由戸(あゆど)の二つの観音堂があります。
◎ 相浜(あいはま)
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平砂浦の東に位置しており、かつては地引網が盛んな漁村でした。元禄16(1703)年の大地震では土地が5m隆起し、津波被害も大きく、蓮壽院には犠牲者の供養塔が建てられています。大正12(1923)年の関東大震災でも津波被害がありましたが、元禄津波の教訓から住民は高台に逃げ、犠牲者は1人だけでした。ヤマトタケルを祀る浪除(なみよけ)神社と宇豆彦命を祀る楫取(かじとり)神社が合祀された相浜神社では、毎年3月末に曳き船祭りがあります。江戸時代には修験の感満寺がありました。
◎ 神戸(かんべ)
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「神に仕える家」を意味し、安房神社の神を支える人たちの家があった地域ということが地名の由来となっています。安房神社に隣接した千葉県野鳥の森はハイキングやバードウォッチングが楽しめる「森林浴の森100選」に選ばれ、太平洋に面した平砂浦海岸の辺りは「白砂青松100選」「日本の道100選」にも選ばれていて、美しい景色が続いています。ここには、平砂浦の飛び砂と苦闘してきた先人たちの砂防の歴史や、館山海軍砲術学校の演習場となった歴史があることを忘れてはなりません。