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謎の竜のレリーフ〜戦争遺跡を歩く⑦

「戦闘指揮所」地下壕 千葉県館山市

(しんぶん赤旗 2012.4.15付)

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千葉県の房総半島の先端にある人口約5万人の街、館山市。旧日本軍の東京防衛の要塞都市であり、戦略拠点にもなったこの街には、数々の戦争遺跡は残っています。

ある福祉施設内の丘の中腹に、「本土決戦」を想定した抵抗拠点とみられる地下壕(ごう)があります。壕内部の部屋の入り口上部に、コンクリート製の額があります。刻まれているのは「戦闘指揮所」の文字。さらに奥には「作戦室」の文字が刻まれた額のある部屋もあります。

南能総地域の戦争遺跡を20年以上調べている安房文化遺産フォーラムの愛沢伸雄代表(60)は「1944年7月に発令された『本土沿岸築城実施要綱』に基づいて敵上陸が予想される地点に、抵抗する陣地や砲台などの建設をしたものの一環と考えられています」と話します。

「作戦室」の隣の部屋の天井には、「約3メートル四方にわたって描かれた力強い竜のレリーフも。「竜がどんな意図で彫られたかは謎です。ただ、戦争末期に製造された水中特攻兵器には『海竜』『蛟竜(こうりゅう)』など、竜の文字をつけた特攻艇が多かったので、本土決戦に向けた戦意高揚の意味があったかもしれません」と愛沢さん。

最深部の部屋には、開封されていないコンクリートの袋が8個、無造作に詰まれたまま固まってしまった。「おそらく、終戦間際まで壕を掘り進め、ここで敗戦を知らされ、作業をほうきしたのではないでしょうか」(愛沢さん)。アジア諸国を侵略し、多くの犠牲を払った日本軍の結末を見る思いがしました。

(寺田忠生 随時掲載9)


南房総の戦争遺跡のお問い合わせは「安房文化遺産フォーラム」 awabunka@awa.or.jp 0470(22)8271。

12年4月15日 6,967

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