小原家住宅、国の登録文化財に
主屋・離れなど6件
館山市南条にある「小原家住宅」が、国の登録有形文化財となることが決まった。国の文化審議会が10日、答申した。主家や離れ、表門など6件が対象。市内の登録は計14件となる。
登録有形文化財は、地域の身近な文化財を守り、地域の資産として生かすため平成8年に設けられた登録制度。同審議会では今回新たに226件の建造物を登録するよう文科相に答申した。
小原家は江戸時代から続く旧家。安政6年(1859)ごろの建築とされる主屋は、明治期に県議、衆議院議員を務めた当時の当主・小原金治が、明治29年(1897)に改修し、昭和初期に補修した。
寄棟造の主体部に、台所や土間が接続する近世から近代への増改築の変遷をよくとどめたつくりが特徴で、透かし彫りの手の込んだ欄間彫刻、初代後藤義光の仏壇彫刻なども目を見張る。
良質な建築の離れ、家紋入りの屋根瓦で風格のある表門、米蔵、文庫蔵、旧長屋門など計6件が登録される。
現在は金治の孫の小原多喜さん(96)と娘夫婦の村上吉夫さん(76)、信子さん(72)が居住している。
登録決定に村上夫妻は「江戸時代から受け継がれてきた歴史ある建物が文化財として認められ、登録が決まりうれしい。今後はイベントして公開するなどして日本建築の良さを多くの人に知ってもらいたい」。小原さんも「ありがたいこと」と喜んでいた。
現在の館山市内の国登録有形文化財は、鈴木家住宅の主屋など、紅屋商店店舗など、巴橋、洲埼灯台、小高記念館の計8件。
【写真説明】小原家住宅の主屋=館山市南条で