●第8回戦争遺跡保存全国シンポジウム館山大会
【主催】:戦争遺跡保存全国ネットワーク、第8回戦争遺跡保存全国シンポジウム館山大会実行委員会
【共催】:館山市、館山市教育委員会、NPO法人南房総文化財・戦跡保存活用フォーラム
【会場】:たてやま夕日海岸ホテル
■趣旨概要
20世紀の二度にわたる世界大戦の惨禍を踏まえ、「平和の世紀」という願いとともに迎えた今世紀に入ってもなお、世界各地では憂慮すべき深刻な事態が巻き起こっています。自衛隊派遣などで世論が揺れる現在、過去の過ちを繰り返さない選択をするためにも、「平和の語り部」とも言うべき戦争遺跡から学ぼうという動きが活発に起き始めています。このように戦争遺跡に課せられる役割が一層大きくなる中で、これらを史跡として保存しようという運動は、多くの市民や自治体の力で粘り強く進められています。こうした全国の運動をひとつに結び、よりよい保存や継承の方法を研究することを目的に結成した「戦争遺跡保存全国ネットワーク」は、1997年第1回戦争遺跡保存全国シンポジウム長野大会を皮切りに、第2回(沖縄)南風原大会、第3回京都大会、第4回(高知)南国大会、第5回(神奈川)川崎大会、第6回(山梨)甲府大会、第7回(大分)宇佐大会を開催してきました。
そして今夏、第8回戦争遺跡保存全国シンポジウム館山大会を開催する運びとなりました。太平洋に突き出た房総半島南端部に位置し、東京湾の入り口にあたる館山市は、帝都東京を守るための要塞地帯として、また想定された本土決戦に備えて造営された戦争施設が数多く残されている貴重な地域です。館山市では「地域まるごとオープンエアーミュージアム(フィールド博物館)・館山歴史公園都市」構想をもつ平和宣言都市として、今春、平和学習拠点として「旧海軍赤山地下壕跡」の一般公開も始めています。また市民活動としては「南房総文化財・戦跡保存活用フォーラム」という研究調査・ガイド団体も全国に先駆けてNPOとして旗揚げし、全国からの企業・学校等の平和学習ツアーのニーズに応えています。こうした先進的な取組みに学びながら、知恵と経験を一同に集め、戦争遺跡保存の運動をさらに前進させ、平和な未来づくりの一助となることを意図しています。
..実行委員長 各務 敬
..現地事務局長 愛沢 伸雄
■シンポジウム日程
【2004年8月20日(金)】
○現地見学会1(千葉県茂原市・夷隅町・大原町)
【2004年8月21日(土)】
○現地見学会2(館山市「館山海軍航空隊赤山地下壕跡」)
○戦争遺跡保存全国ネットワーク総会
○全体集会1
・オープニング:合唱組曲 「ウミホタル〜コスモブルーは平和の色」 館山市合唱連盟
・基調報告 「戦争遺跡の現状と課題 2004」 十菱駿武
・地域報告 「千葉県館山市における戦争遺跡の保存と活用-過去・現在・未来」 館山市教育委員会 杉江 敬
○分科会1
・第1分科会 「戦争遺跡保存運動の現状と課題」
・第2分科会 「調査方法と保存整備の技術」
・第3分科会 「平和資料館と次世代への継承」
・特別分科会「南房総平和活動シンポジウム 〜女性の目から見た平和〜」
・ ウミホタル鑑賞会/交流会
【2004年8月22日(日)】
○分科会2
・第1分科会 「戦争遺跡保存運動の現状と課題」
・第2分科会 「調査方法と保存整備の技術」
・第3分科会 「平和資料館と次世代への継承」
・特別分科会「南房総平和活動シンポジウム 〜証言者のつどい〜」
○全体集会2
・記念講演 「平和の語り部としての戦争遺跡」 早乙女勝元
・閉会集会
【2004年8月23日(月)】
○現地見学会3(館山市)
○現地見学会4(館山市-富浦町)
■内容
◎第1分科会 「戦争遺跡保存運動の現状と課題」
・「旧海軍軍司令部第三部・航空本部等地下壕の破壊をもたらすマンション建設計画と反対運動報告」
=茂呂秀宏 (日吉台地下壕保存の会)
・「南国市、掩体壕保存の予算を計上」=中村雄輔/窪田充治 (掩体壕を文化財に推進する会)
・「日中協力・共同事業で《平和教育の基地》づくり」=三嶋静夫 (「731部隊遺跡世界遺産登録」を目指す会)
・「貝山地下壕保存する準備会から少しずつ見えてきた横須賀の戦争遺跡」
=原田弓子 (貝山地下壕保存する準備会)
・「この1年間の活動」=日高忠臣 (浅川地下壕の保存をすすめる会)
・「特攻機桜花四三乙型行川基地跡の町指定文化財決定への経過」=嶺島英寿 (夷隅町)
・「松本強制労働調査団の現状と課題」=小島十兵衛 (松本強制労働調査団)
・「京都の青い目の人形への取り組みについて」=中野恭子 (戦争遺跡に平和を学ぶ京都の会)
第2分科会 「調査方法と保存整備の技術」
・「松代大本営第2次学術調査 皆神山地下壕の調査」
=十菱駿武/平川豊志/松代大本営の保存をすすめる会 (松代大本営第2次学術調査団)
・「皆神山調査」=平川豊志 (松本強制労働調査団)
・「『軍艦防波堤』の調査と保存」=中川 洋 (千葉科学大学)
・「旧陸軍祝園弾薬庫専用鉄道の鉄橋について」=池田一郎(戦争遺跡に平和を学ぶ京都の会)
・「ガマ調査・撮影会をはじめて」=大城牧子 (沖縄平和ネットワーク)
第3分科会 「平和資料館と次世代への継承」
・「山梨平和資料センター建設をめざして」=浅川 保 (山梨県戦争遺跡ネットワーク)
・「表現ジャンルを越えた 平和への競演」=岡上そう/冨澤慎吾 (日吉台地下壕保存の会)
・「公開講座『多摩の戦争遺跡を歩く』の報告」=中田 均 (浅川地下壕の保存をすすめる会)
・「“貝山地下壕”見学ガイドの9年目を迎えて」=大黒春江 (横浜市立六浦小学校)
・「日韓学生交流」=三橋康孝 (千葉県日本韓国・朝鮮関係史研究会)
・「文化体験プログラムに戦跡めぐりを取り入れて=藤乗 裕喜 (茂原市教育委員会生涯学習課)
・「南房総・安房の戦争遺跡をめぐって」=鈴木祐紀 (千葉県長狭高等学校3年)
・「地域史に安房の戦争遺跡をどう位置付けるか -この地からアジアの人々に
『平和・交流・共生』を呼びかける- 」=愛沢伸雄 (NPO 南房総文化財・戦跡保存活用フォーラム)
・「“対馬丸”60年目の出航 -対馬丸記念館が目指すもの- 」=吉川由紀(財団法人 対馬丸記念会)
・「文化祭で取り組んだ戦争展」=野口政和 (千葉県歴史教育者協議会)
特別分科会 「南房総平和活動シンポジウム」
女性の目から見た平和(8月21日)
・天羽道子 (婦人保護施設 「かにた婦人の村」 施設長)
・きくち ゆみ (環境・平和ジャーナリスト)
・宇梶静江 (アイヌ布絵作家)
証言者のつどい(8月22日)
・松苗禮子*「富田先生の青い目の人形」
・利渉義宣*「軍用品としてウミホタルを採集したころ」
・川名 武*「花禁止令と花作りを守った人々」
・鈴木文郎*「マッカーサー機撃墜計画を中止させた使者」
*詳細概要は以下のPDFファイル参照。