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タイトル:【房日寄稿】220116*安房地域母親大会〜女性の人権と戦争を考える
掲載日時:%2022年%01月%16日(%AM) %06時%Jan分
アドレス:http://bunka-isan.awa.jp/News/item.php?iid=1459

安房地域母親大会

女性の人権と戦争を考える

(房日新聞2022.1.16)⇒印刷用PDF

1月22日(土)1時半より館山市コミュニティセンターで、第27回安房地域母親大会を開催します。母親大会は住みよい地域づくりを目ざし、老若男女だれでも参加できる話し合いの広場です。不安の多いコロナ禍において、就労困難や貧困、DVや学力格差などはますます厳しくなっており、ジェンダー男女平等指数では日本が世界120位という状況にあります。

今大会はシンポジウム「女性の人権と戦争を考える」と題して、「かにた婦人の村(通称かにた村)」の名誉村長・天羽道子さんと、「希望のたね基金(通称キボタネ)」の代表理事・梁澄子(やんちんじゃ)さんをお迎えし、お話いただきます。

かにた村は、様々な障害により自活困難な女性たちを支えるために、売春防止法にもとづく婦人保護長期入所施設として1965年に開設されました。館山の自然豊かな環境で大家族のように寄り添いながら、農園・洗濯・手芸・調理などの作業をとおして、自分らしさを回復し、生きる喜びを分かち合っています。

そうした生活のなかで癒やされた一人の女性(城田すず子さん)が、戦後40年を経たときに従軍慰安婦だった過去を告白し、仲間を慰霊してほしいと懇願しました。こうしたことが二度と起きないようにと祈りをこめて、施設内の丘上に「鎮魂の碑」と墨書された檜の柱が建立され、翌年「噫従軍慰安婦」と刻まれた石碑になりました。「噫(ああ)」という文字は、声にならない苦しみを表しています。国内ただ一人の証言者となった城田さんの苦痛を受け止め、支えてこられたのがディアコニッセ(奉仕女)の天羽さんでした。

一方、キボタネは日韓の若者が「慰安婦」問題について共に学び、意識ギャップを埋めて、「終わらせる」のではなく、「記憶・継承」するために設立されました。性暴力のない、平和な社会づくりを目ざして、セミナーやスタディツアー、留学支援などの事業に取り組んでいます。

奇しくも梁さんは、戦前の安房に韓国済州島から出稼ぎに来た海女たちの聞き取り調査をおこない、『海を渡った朝鮮人海女-房総のチャムスを訪ねて』という本を34年前に上梓しています。

また、実行委員会に所属するNPO法人安房文化遺産フォーラムは、社会科教員であった愛沢伸雄氏が「かにた村」を訪れ、「噫従軍慰安婦」の碑や施設内にある戦争遺跡に出会ったことが活動の原点です。これらを教材化して、当時の安房南高校で平和学習を実践したことから、赤山地下壕の見学ガイドやウガンダ支援活動などに繋がっていきました。

安房地域母親大会は1996年に始まり、27年目を迎えます。初代実行委員長は、天羽さんが務めて下さいました。当時の実行委員長挨拶文を一部ご紹介します。

「常々私は人間の生き方について、社会の在りようについて、大きくは地球(環境)について考えて参りましたが、今日の社会があまりにも人間を問うことなしに進んでいることに危惧の念を抱き、ある意味では戦後の悲惨より、より深刻な悲惨を見る思いが致しております。… それはますますスピード化し、人間の本来の姿が見失われてしまっているのではないか。そして、それは1つにバランスが失われている結果ではないかと思って参りました。このバランスを正常にし、一方的に回り続ける歯車にブレーキをかけて見直すために、母親の発想と母親の声が発せられなければならないと思うのでございます。」

まるで現代社会を見越したかのような内容です。現在95歳になられた天羽さんは、講演も取材も一切ご辞退しているそうですが、母親大会だけは特別とご快諾下さいました。縁あるお二人から意義深い実践を学び、「女性の人権と戦争を考える」1年の幕開けにできれば幸いです。

なお、感染者が増加傾向にあるため、当日は第2会場を用意し映像視聴をしていただく可能性もありますので、ご了解のほどお願いいたします。


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