タイトル: | 120205千葉大学大学院教育学研究科*川上和宏さん(まちづくり講座) |
掲載日時: | %2012年%02月%05日(%PM) %22時%Feb分 |
アドレス: | http://bunka-isan.awa.jp/News/item.php?iid=725 |
「ナマダ(うつぼ)物語」… 「メラ星プロジェクト」… 「タガメ商品開発」…
富崎地域をより楽しくしようと、この地域の人、そうではない人一緒になってグループトークで出し合ったアイディア。グループでの話し合いは、一人ひとりのまちづくりのためのアイディアを出し合いながらも、この富崎地域がどんなまちで、どんな歴史があって…という「地域の物語」の語り合いが中心にあった。そして、地域の人間でも、ましてや館山の人間でもない私は、地域のみなさんの「物語」が聞けて本当におもしろかったし、興味深かった。
「冬のこの地域の名物はうつぼの干物。しかし、うつぼをとりすぎると海の中の食物連鎖で最終的にアワビが減ってしまう…」
「1月の末から2月あたまにかけてたった3日間だけ、この地域から見られる星、布良星。かつて漁に出かけて亡くなられた方たちは、あの布良星になったと思われていた…」
「夏に大量にあがるタガメという魚。たくさん取れすぎたときには、地域の人たちへ町内放送が入り、各地域の代表者が取りに行って分配する…」
こうした物語は、ここに来て、ここにずっと住んできた人たちからでなければ、絶対に聞けない話。また、とても印象的だったのは、こうした物語を伝える地域のみなさんの顔が、とても楽しそうに、誇らしげにしていたこと。思わず、惹きこまれてしまう。そして、この物語の語り合いがおおいに盛り上がり、そこから、地域をより楽しくするためのアイディアにつながっていく。
こうやって、自分たちの知っていることや思い出の物語を語り合い、みんなで自分のまちをよりよくしようと頭をひねる。地域の人たちが一緒になってこうした話し合いができる場が地域の中にあること、これがとても大切だと考えさせられた。
そしてもう1つ大事なことは、その土地の物語には、他所から来た人にとって、とても魅力があるということ。商業的な施設だけが魅力ではない。その土地の人とのかかわりあいのできる空間・時間があったら、それこそが何度もこの地域に来たいと思える資源となりうる。富崎の地域のみなさんから、貴重な物語とパワーをもらった1日だった。