タイトル: | 【房日】050902虹のかけ橋*寄稿③池田恵美子 |
掲載日時: | %2005年%09月%02日(%AM) %00時%Sep分 |
アドレス: | http://bunka-isan.awa.jp/News/item.php?iid=230 |
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「戦後60年」の今年、諸団体と手をつなぎ、「南房総平和フェスティバル2005〜子どもたちに平和を手渡そう」というネットワークをつくってきました。
安房反核フェスティバル、安房地域母親大会、朗読劇『この子らの夏』…などなど、これまで地道に活動を続けてきたグループはじめ、その輪はどんどん広がりました。終戦記念日の「平和の集い」や、「安房・平和のための美術展」など多彩なプログラムが充実した夏でした。
この一連行事のクライマックスとして、9月3日(土)13時半より、南総文化ホールにて「虹のかけ橋〜ウミホタルとアワビがむすぶ日米交流」(入場無料)をおこないます。
平和は世界恒久の願いです。教育や文化の振興を通じて、戦争の悲劇を繰り返さないように、という意図で設立されたユネスコ憲章の前文には「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」という精神が謳われています。
国連本部をはじめ世界中に設置されている「世界平和の鐘」は、毎年9月の国連総会開会日(国際平和の日)に鳴り響いているといいます。
戦後まもなく、全国に先駆けて館山ユネスコ協会を立ち上げ、半世紀にわたってユネスコ精神を実践してこられた本多かおる先生が、今回の催しを「虹のかけ橋」と名づけ、実行委員長の任を引き受けてご尽力くださっていることを、この場を借りてご報告します。
「平和フェスティバル」では、埋もれていた安房の歴史にもとづく、市民による草の根の国際親善事業に取り組んでいます。その一つは、「たてやま日韓子ども交流」でした。
今年は、韓流ブームの高まりに反比例するかのように、歴史認識のズレによる反日感情の高まりもありました。その影響で、日韓国交正常化四十年でありながら、記念交流行事の中止が各地で相次いだのです。
そんななか、韓国・浦項(ポハン)製鉄西初等学校の児童20名を館山に迎えられたのは、とても意義深いことでした。浦項と館山の子どもたちは、館山の歴史・文化を学び、音楽や自然体験を通じて、友情を深めました。
なかでも、館山の大巌院にあるハングルが刻まれた「四面石塔」の前で、両国の歴史を学んだ子どもたちからは、「もっとお互いの国を知って、仲良くしたい」という発言もありました。音楽会では、両国の言葉でユネスコ平和宣言が唱和され、「平和の鐘」の儀式もおこないました。
多くの市民や文化関係など諸団体のご協力のおかげで、子どもたちによる「善隣友好」に貢献することができました。
太平洋をはさんで位置する日本とアメリカ。指をさすように向かい合う房総半島とモントレー半島。友情と戦争。安房の海に生きるウミホタルとアワビ。…さまざまなキーワードで出会った人びとの想いは、「虹のかけ橋〜ウミホタルとアワビがむすぶ日米交流」として結実しました。平和宣言都市・館山においておこなうこの催しは、地域から国際親善に寄与する小さな一歩です。
100年前に、安房からアメリカへわたったアワビ漁師たちの話に、私はワクワクしています。
明治という時代に、どんな思いで、太平洋へ漕ぎ出したのでしょう。言葉も通じず、生活習慣も文化も違う異国の地で、どのように信頼を得て、ビジネスを成功させていったのでしょう。そして何より驚いたのは、アワビの大きさです。人の顔より大きなアワビのステーキって、どんな味なのでしょう。興味は尽きません。
不安な要素の多い現代、安房の先人たちの歴史は、私たちに夢と希望を与えてくれています。同時に演奏される館山発祥の合唱組曲『ウミホタル〜コスモブルーは平和の色』も、聞くたびに感動し、心が温かくなります。私は、このワクワク感をたくさんの人と分かちあいたいと望んでいます。
当日は、『太平洋にかかる橋〜アワビがむすぶ南房総・モントレー民間交流史』の冊子と『ウミホタル』の楽譜を、特別価格500円で頒布いたします。ご来場をお待ちしています。