
(2010.3.6付)
安房看護専門学校、最後の学生9人が卒業
39年の歴史に幕〜地域医療支える人材輩出
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安房看護専門学校(館山市湊、野原正校長)は4日、卒業式・閉校式を行い、最後の学生9人を送り出して39年の歴史を閉じた。
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(房日新聞2010.4.11付)
赤山地下壕、昨年度見学者は1万7,112人
過去最高記録、観光スポットとして定着
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館山市が、平和学習・観光交流の拠点として一般公開している戦争遺跡の赤山地下壕の平成21年度見学者実績がまとまった。総見学者数は前年より11.2%、1,723人増えて過去最高の1万7,112人を数えた。1日平均では約50人が訪れており、同市の観光スポットとして定着しつつある。
同地下壕は、米軍の空襲がはげしくなった太平洋末期、当時の館山海軍航空隊の防空壕として使われた。総延長1.6キロと全国的にも大きな地下壕で、市を代表する戦争遺跡のひとつ。一般公開翌年の平成17年1月には、市の史跡にも指定されている。
まとめによると、見学者の内訳は個人客が9,264人で全体の54.1%と半数を超えている。学習旅行などの高校生は24.7%と全体の4分の1にとどまり、大人が75.3%を占め、相変わらず戦前・戦中世代の人たちに関心が高いことがうかがえる。県外からの来訪者も9,542人で55.8%と過半数を数える。月別では、7月が2,000人と最も多く、次いで5月の1,934人、10月の1,742人、11月の1,648人の順で続き、7月の1日平均は66.7人にのぼった。
同市教委によると、一度ガイドをした団体などから紹介され、見学の際にガイドを依頼するケースが増えており、近くのホテルなどの案内で訪れる宿泊者の姿も目立つ。「こうした相乗効果が増加につながっている」としたうえで、「さらにPRに努めていきたい」としている。



(房日新聞2010.1.20付)
館山で訓練した元落下傘兵の版画家
秋山巌氏の作品展始まる
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若き日に海軍の落下傘兵として館山海軍航空隊で訓練を受け、復員後に棟方志功の弟子となった版画家・秋山巌さん(88)=千葉県松戸市在住=の作品展が19日、館山市大網の大巌院(大網寺、石川龍雄住職)で始まった。種田山頭火の俳句を題材とした木版画、掛軸などの肉筆画に加え、小品や陶器など50点余りが並んだ。入場無料で25日まで。
秋山氏は大分県竹田市出身。第2次大戦後に版画の道に進み、1970年に山頭火の句をモチーフにした作品を初めて発表。フクロウや猫などの動物、風景や菩薩などを描く独自の木版画の世界を確立した。
これまでに3000点を超える作品を世に出し、一部は大英博物館(ロンドン)、ビクトリア国立美術館(オーストラリア・メルボルン)など海外の美術館に所蔵されている。
作品展の開催は昨年1月、娘の町田珠実さん=福島県相馬市在住=が館山を訪れ、館山海軍砲術学校跡などの戦争遺跡にふれたのがきっかけ。12月には秋山氏も65年ぶりに館山を訪問。命を落とした多くの戦友を慰霊するとともに、思い出の地である館山での作品展開催を決めた。
珠実さんは「会場は和室で、父の作品によく合う素晴らしい空間。墨がかもし出す木版画の世界を楽しんでもらいたい。今回は、デパートなどで行う展覧会よりも多数の作品を持ち込んでいる。この個展を通じ、館山との縁を広げていきたい」と話している。
作品展は、連日午前10時から午後4時まで。
23日には県南総文化ホール小ホールで、秋山氏のトークショーが開催される。午後7時開演で、入場料500円。チケットは同ホールのほか宮沢書店、ブックス松田屋などで取り扱っている。
※秋山巌展&トークショーの詳細はコチラ。





日中韓3国青少年キャンプ安房で開催
150人が交流・討論
8月4日-9日、共通の歴史認識探る
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夏休みの機会に日本、中国、韓国の中・高・大学生150人が一堂に集い、歴史学習や文化・スポーツ交流を行なう「日中韓3国青少年歴史キャンプ」が8月4日から9日の6日間、安房地域を舞台に開催されることが決まった。
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一行は、南房総市富浦町の大房岬少年自然の家に宿泊。館山市などに残る安房の戦跡や南房総市千倉町の日中友好の碑、鴨川市の大山千枚田などを訪れる。日本側の実行委員会事務局の大八木賢治さんは「開催地となる安房地域の若者に、多く参加してもらいたい」と話している。
同キャンプは2002年に始まり、今年で9回目。昨年は韓国・南海郡(中止)、一昨年は中国・南京で開催された。
3か国それぞれの歴史教育の隔たりを埋め、平和学習をともに行なうことで共通の歴史認識を模索することが主要な狙い。日本は同キャンプ実行委員会とNPO法人安房文化遺産フォーラム、中国は社会科学院などの政府機関、韓国は「アジアの平和と歴史教育連体」が主催する。
プログラム案によると、キャンプは8月4日、南房総市富山公民館での開会式でスタート。5日は館山市の赤山地下壕や米軍上陸地など安房の戦跡、6日は四面石塔のある館山市の大巌院、済州島出身の海女の墓地がある鴨川市の長興院などを訪問。安房における戦争の歴史と、他国との友好、交流の歴史の双方を学習していく。
夜は3か国の青少年が語り合う、討論の時間が連日組まれる。「日本の夜」「韓国の夜」「中国の夜」と銘打って、それぞれの文化への理解を深めるほか、スポーツやバーベキュー、キャンプファイアを通じて交流。国境を越えた同世代の友情を深めていく。
日本の参加者は中高生40人、大学生10人以内で、参加費は1人3万円を予定している。
問合せは
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(房日新聞2010.6.8付)
文化遺産フォーラムが部門賞
まちづくり教育に高い評価
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地域の歴史・文化財の保存・活用を通じたまちづくりに取り組んでいる館山市のNPO法人安房文化遺産フォーラムの活動が、第8回日本都市計画家協会賞の「まちづくり教育部門賞」を受賞することになった。
19日に東京で行なわれる同協会総会で、表彰式が行なわれるという。
同フォーラムは昨年、文化財保存全国協議会の「和島誠一賞」を受賞しており、これで全国的な組織から2年連続で高い評価を受けることになった。愛沢伸雄代表は「われわれの活動だけではなく、地域の市民の力が認められたと思っている。受賞は活動メンバーの励みにもなり、とてもうれしい」と話している。
日本都市計画家協会は、都市・地域計画の専門家などで組織。調査・研究や政策提言、社会啓発など都市・地域分野にかかわる分野で幅広い事業を展開している。
同賞は、全国のまちづくりの取り組みの中から「優れた理念を持つ活動や計画、策定プロセス、手法」などを表彰。「まちづくり教育部門」は大賞に次ぐ高位の賞と位置づけられている。
安房文化遺産フォーラムは今回、▽赤山地下壕など地域の戦争遺跡の保存とガイド事業の実践、ガイドブックなどの作成▽稲村城跡の保存と、里見氏ゆかりの他地域との交流▽青木繁の名画「海の幸」誕生の家と記念碑の保存・活用への取り組み▽地元の食文化、生活文化の記録伝承…など、これまでの総合的な取り組みが「平和・交流・共生の地域づくり」として評価された。



高齢者、乳児の医療費を無料化した村長描いた
映画「いのちの山河」上映へ
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館山市を中心とした市民グループ「安房の地域医療を考える会」(愛沢伸雄代表)は、全国で初めて老人・乳児の医療費無料化を決断した岩手県(旧)沢内村の深澤晟雄村長の半生を描いた映画「いのちの山河・日本の青空Ⅱ」の上映会を、3月6日に南総文化ホール大ホールで行うことを決めた。
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(房日新聞2010.3.2)
守ろう地域医療Ⅱ
看護①〜最前線の現場で=やりがいの一方、激務の職場
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「はい、救急車入りますよ!」--。金曜日の午後5時半。安房地域医療センター(館山市)の救急外来で当直の看護師、大場清香主任が大きな声を上げた。
最初に肺炎とみられる高齢者の男性、ほどなくして、顔中が血まみれになった壮年男性が運び込まれる。2カ所ある処置スペースがふさがり、先ほどまでそこにいた患者はストレッチャーに乗ったまま、スタッフが行き来する通路部分に〝避難〟させられた。その横には、ベッドで点滴などを受けている患者が3人。移動式のレントゲン、心電図などの機械を押して検査技師が駆けつける。現場は、あっという間に「戦場」の様相に変わった。
大場さんはけがの男性患者の顔をふき、汚れた服を脱がせて備え付けのガウンに着替えさせる。医師の治療補助。検査のための血液採取、点滴の交換、患者情報のパソコン入力、入院患者の手続き・院内連絡、患者家族への応対…。医師も忙しいが、看護師の手足の動きが止まることも一瞬としてない。
「うちのスタッフはよくやってますよ。館山から鋸南までの10万人を守っているという気持ちで仕事をしている。救急の現場は臨機応変さが求められる。次にどうなるかという状況判断を常にしながら動くことが大事です」。
鴨川市出身。東京女子医大病院に長く勤め、10年前に「24時間の救急外来を立ち上げるから」と乞われて安房医師会病院(現・安房地域医療センター)に移った。以来、ずっと救急部門一筋。救命救急科の不動寺純明部長(医師)も「ここのことは何でも知っている。なくてはならない人」と全幅の信頼を置く。
安房地域で発生する重篤患者の多くは、3次救急を受け持つ亀田救命救急センター(鴨川市)に搬送される。だが、医療センターの役割も重い。午後7時、同8時20分…。この日は「そろそろ潮が引いたかな」思うと、新たな救急搬送があった。もちろんマイカーで訪れる軽症の患者も絶えない。
病院側と約束した午後10時過ぎに取材終了。それまでの6時間、大場さんら2人の看護師がいすに腰をおろすことはなかった、翌日午前に電話すると「その後も忙しく、午前2時半にようやく食事がとれた」と話してくれた。
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月曜日午後7時の館山病院。60床ある内科・外科混合の2階急性期病棟では、夜勤の3人に加え、まだ日勤チームの大半の看護師が居残ってバタバタしていた。
かかりつけの患者など3人が、夕方から次々に入院することになったからだ。人手が足りず、師長の竹之下久美子さんが自ら1階に降りて患者を迎えた。「5時に帰りたいとは思っていないが…。毎日これだと、モチベーションを保つのが大変なのも事実です」。
ナースコールを受ける表示板をみると、50数人の入院患者の平均年齢は80歳を超えている。食事、入浴、トイレ…。東京などの都市部の病院に比べ、看護師らスタッフの介護が必要な患者の割合が非常に高い。
新たに入院した患者を病室に運んだ竹之内さんの背後で、「バタッ」という大きな音がした。同室の患者がベッドから起きあがろうとして転倒、頭を打った。すぐに手当てをし、脈拍などの異常がないか確かめる。この患者には、身体の動きを知らせるセンサーをつけて、事故防止を図ることにした。
日勤の看護師がすべて引き揚げたのは、午後8時を過ぎてから。「忙しいばかりで、一人ひとりの患者さんへの目配りができているか、患者さんが満足しているかを考えると少し申し訳ない気持ち」と竹之下さん。病棟を統括する師長としては「スタッフの意欲が低下しないように、仕事や人間関係の〝交通整理〟をするよう心がけている」と語った。
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「いのちを守る」役割にやりがいを感じる一方で、長時間、不規則な厳しい勤務を強いられる看護師たち。昨年11月掲載した「守ろう地域医療」の続編として、今回は看護の現場や看護師不足問題、安房看護専門学校の閉校などに焦点をあてる。



館山市のNPO法人安房文化遺産フォーラム(愛沢伸雄代表)は3月28日、城山公園で同日に開催される「里見桜まつり」に合わせ、城山周辺を散策する「里見ウォーキング—『八犬伝』のふるさと〜里見の城山—」を開催する。
同公園駐車場横に集合し、午前10時にスタート。4キロを約2時間かけてゆっくりと歩く。館山城跡と戦争遺跡、千畳敷、八遺臣供養塔、慈恩院、鹿島堀などをめぐるコースで、「里見ガイド」の説明付き。
参加費200円。同フォーラムでは「戦争中に城山は削られてしまったが、まだまだ築城当時の城跡遺構が残っている。ガイドと歩いて、在りし日の城の雰囲気を味わって」と話している。
(房日新聞2010.3.21付)

