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タイトル:「安房・地域まるごとミュージアム」構想とNPO活動(歴教会誌36号2005年)
掲載日時:%2009年%03月%10日(%PM) %22時%Mar分
アドレス:http://bunka-isan.awa.jp/About/item.php?iid=303

「安房・地域まるごとミュージアム」構想とNPO活動

愛沢 伸雄・河野 宏明 ≪千葉県歴史教育者協議会 会誌第36号(2005年)≫


【(1) はじめに】

「エコミュージアム」とは、1971年にフランスで提唱された地域全体を「地域まるごと博物館」と見立てて、地域にある魅力的な自然遺産や文化遺産を再発見するとともに、学習や研究保存、展示活動などを通じて、地域住民が主体となって「地域づくり」に活かしていく仕組みと活動である。


いま「NPO法人南房総文化財・戦跡保存活用フォーラム」(以下「NPO法人」とする)では、南房総・安房の特性を学ぶなかで、「『平和・交流・共生』という視点から『安房・地域まるごとミュージアム』構想」(以下「ミュージアム構想」とする)を検討している。ここでは公民館活動から始まったサークルが「NPO法人」設立に関わった経緯を紹介しながら、地域コミュニティの再生を念頭においた「地域づくり」活動として「ミュージアム構想」の概要を報告する。


【(2)NPO設立前後の活動-公民館講座(教室)から「戦跡サークル」へ】

海に囲まれた房総半島南端部-安房の歴史をひもといてみると、古代より人びとが交流・共生し、戦乱や災害などを乗り越え、豊かな地域コミュニティをつくってきた地域である。近現代では、日清・日露戦争からアジア太平洋戦争にいたるまで、東京湾口部を防御する東京湾要塞房総地区として、重要な軍事的役割を担った地帯であり、全国的に見ても貴重な戦争遺跡が数多く残っている地域である。


2004年1月に設立し、5月に法人認証を受けた「NPO法人」は、地域にある歴史的環境や文化遺産、先人の知恵などを掘り起こし、調査研究を重ねて、この地を訪れる人びとに平和研修や総合学習などのガイド事業を中心とした活動を行なっている。高齢者が豊かな知識と体験を語り継ぐことによって、生涯現役でいきいきと活躍する「市民が主役の地域づくり」を推進するとともに、青少年の健全育成にも寄与し、地域社会(コミュニティ)の再生(創造)をめざしている。


ところで、「NPO法人」は、安房にある戦国期の大名里見氏の稲村城跡をはじめとする城郭や関係文化財や、近現代の戦争遺跡を調査研究して各種団体や学校等の平和研修や総合学習を支援する活動や地域の文化活動の実績を積んできた2つの市民文化団体(「里見氏稲村城跡を保存する会」「館山地区公民館戦跡保存調査サークル」)が母体として設立された。「NPO法人」設立の母体である「館山地区公民館戦跡保存調査サークル」(以下「戦跡サークル」とする)が誕生した経緯と、NPO活動との関わりについて報告する。(河野)


館山地区公民館に席を置いていた私は、10年を越えて安房の戦跡調査をつづけ、「NPO法人」の設立にまで発展するところまでもっていった千葉県歴教協安房支部代表である愛沢伸雄さんの活動時期と重なって、一緒に地域で歴教協運動を進めてきたひとりである。安房地域は、東京湾の入り口にあって、対岸の横須賀・三浦半島とともに首都防衛の要として、早くには幕末・明治の頃から極めて重要な役割を担ってきたところである。とりわけ日中戦争やアジア太平洋戦争を通じて、その役割は一層高まり、安房には数多くの軍事施設などが構築され、今日にいたるまで戦跡として残されてきた。


しかし、多くの戦跡が放置され、なかには崩壊して消滅しているものが数知れなかった。いずれにせよ、このまま放置できないと戦跡の調査保存に取り組み、多くの人に知ってもらい、安房において平和活動の面から戦跡を保存して考えていこうと立ち上がったのが、高校教師の愛沢伸雄さんであった。愛沢さんの活動の最初の節目が、「戦後50年」の取り組みであった。それ以降、安房にはこんなに多くの戦跡が存在しているのか、と大きな関心を呼び、今日までその輪が広がっていく地域活動となっていった。


そのなかで館山地区公民館では、その経過のなかで公民館主催の戦跡調査へと繋がっていった。館山市には現在11の公民館があり、なかでも館山地区は館山市の中で旧市街の趣きを残したところで、今でも人口の最も多い地域である。この地区のシンボルである“城山”は江戸初期、戦国大名の里見氏の居城で、ここを中心にした町づくりがおこなわれてきた歴史がある。


また、館山市内にある50近くの戦跡のうち重要なものがあるのもこの地区で、館山海軍航空隊(「館空」と略)や洲ノ埼海軍航空隊(「洲ノ空」と略)、そしてその関連施設が数多くあり、とくに1930年に「館空」がつくられてから、軍都として大きく様変わりし、戦争末期には城山などでも砲台の増強が図られるなど、半島先端の洲崎までの山地や海岸地帯には、本土決戦体制が敷かれ、生々しい戦跡が今も数多く存在している。


1996年2月に公民館主催の戦跡フィールドワークやウォーキングをおこなうことになったが、その際に愛沢さんへ講師を依頼したが最初の関わりで、「南房総に戦争の傷跡を探る」フィールドワークでは、鋸南町岩井袋(蛟竜・回天基地)、三芳村(桜花基地)、館山(赤山地下壕)、従軍慰安婦碑と128高地などに出向いた。そして97年12月には「郷土の歴史探訪講座」館山市内の主要戦跡をめぐり、99年2月と3月の「郷土史教室」—「館空」と富浦大房地区の戦跡と、館山海軍砲術学校跡と洲崎地域の戦跡をめぐっている。99年6月7月12月には里見氏や戦跡の文化財と自然観察などをウォーキングと結びつけた「ウォーキング教室」を開催している。2001年12月「戦跡フィールドワーク」-「館砲」地域、2002年1月「南房総戦跡フィールドワーク」—鋸南・富山・三芳地域、2002年2月「南房総戦跡フィールドワーク」—富浦大房岬周辺、など戦跡めぐりは、戦跡のほかに稲村城跡など里見氏関連、ときには安房地域の植物観察などにも及んだ。


これは愛沢さんが戦跡にとどまらず、安房地域の自然・文化を全体的に捉えていこうという大きな構想があったということである。いずれにしても、数年に亘った一連の戦跡調査めぐりは、少なくとも参加したものに、身近な戦跡に対して強い興味・関心を与えていていった。毎回、参加者が平均して30名、しかもほぼ同じメンバ-であったことはそれを示している。このように戦跡めぐりがひとつの公民館行事として続けられてきたのは、それは単に興味関心以上のものであり、「戦跡の存在」と地域の姿とが意識されるようになったからと思っている。これ以後、戦跡調査保存活動を進めていくときに、常に「平和」の問題を考えていくきっかけとなり、公民館活動としてはきわめて意義のある取り組みになっていった。


【(3)公民館「戦跡サークル」へ、そしてNPOとの協働】

2003年度から、公民館では従来、「講座」「教室」として行われていたものを、30余名が参加して戦跡調査保存サークル(「戦跡サークル」と略)として再スタートした。これは戦跡調査活動を以後組織として、公民館活動の中にきちんと位置づけていこうという意味があり、参加者メンバーの強い要望でもあった。


一方この時期、愛沢さんを中心にして「NPO法人」の設立準備が進められ、その設立とともに「戦跡サークル」は「NPO法人」のめざす、戦跡の調査・保存・活用という大きな運動に関わっていくことになった。それは地域において平和を市民ともに考えていく運動でもあった。


具体的には、NPO活動の中心においたのが戦跡ガイド活動であった。スタートから今日まで、安房の戦跡見学者は日を追うごとに増えていき、20〜30人のグループから、ときには200〜300人という大型の団体を迎えることもあった。2004年度をとってみると、「赤山地下壕」の見学者だけでも約15,700人、月平均1,300人になっている。「戦跡サークル」でも「NPO法人」でも、安房の戦跡を繰り返し勉強していくことが必要となっている。またガイド活動をやっていくなかで、私たちも様々なことを学ぶ機会になった。次第に私たちのガイドを、いわゆる「観光案内」だけにはとどめたくない、いやそれではすまされないという気持が生まれていったと思っている。


今年初め、「戦跡サークル」会員からアンケートをとった際に、今後の活動についての要望を問う回答のなかに、「戦跡をどうみるかの視点についての話し合いが必要」という記載があった。戦跡の調査もガイド活動も、それが“何のためにか”ということが大事なのだという指摘である。


また「小中学校に戦争学習を訴えてほしい」「初心者とりわけ小中学生向けの企画を考え、若い人の参加を」などは地域における平和学習を望む声があったり、「戦時中の暮らしや教育などを通じて、この地がどのような悲惨な状態にあったかなど明らかにし、そのことが憲法9条や護憲への確認となる学習の場にしたい」などの意見もあった。


今後の展望を考えてみると、個々の戦跡について、調査・証言・資料などを使って、しっかりした認識をもつことが基本であり、そのなかで安房の地での戦争の実態を解明したいが、十分な資料や証言がないこともあり、個々の戦跡には不明なものが多い。「戦後60年」となり、地域での調査研究や聞き取りを進めていくほど、証言者がいないことに気がつき、関心をもって調べるほどわからないことが増えていく。アンケートには「自分のすんでいる地域に多くの遺跡があることを知って驚きました」とある。まずこの地域に戦争があったことをもっと知り、そのなかで住民の暮らしがどんなものであったかを互いに学んでいく必要があると考えている。


今年の3月議会で、館山市長は「赤山地下壕では平和学習の拠点として利用をはかる」と述べた。教育長は「戦後60年の平和祈念企画事業として、市立博物館で資料展を開き、戦争当時の人々の暮らしを中心に紹介する」と答弁したり、別の席では「地区公民館は地域の文化活動の拠点である」と述べているので、館山市の各公民館が「戦跡」を通じて、それぞれの地域での戦争・平和を考えていく催しがおこなわれることを願っている。館山地区公民館「戦跡サークル」では、今年の企画は地域の「戦跡マップ」づくりとし、この取り組みを通じて多くの地域の方々の参加と交流を望んでいる。


【(4) 地域づくりは『平和・交流・共生』の理念をもった「人づくり」】

これまで私は安房にある自然遺産や風土に根づいている歴史的な文化遺産など“いまあるもの”を活かした地域づくりのあり方を探ってきた。地域に生きる人びとの生活や文化などをしっかりと見つめ、より深く理解するなかで、この地がもっている自然環境や歴史的環境の地域的な特性を知ることの重要性を学んだ。それは古代より繰り返し自然災害に見舞われ、そのたびに先人たちが知恵を出し合い、力を合わせて困難を乗り越えてきた歴史をもっている。そこには海に囲まれた地の利を活かした人びとの「交流」を育み、さまざまな生活や文化を互いに認め合う「共生」の地をつくってきた。ただ太平洋に突き出た半島の先端部であり、東京湾の入り口という中央政権にとって、極めて重要な軍事的戦略の拠点であっただけに、20世紀の世界大戦においても歴史的な役割を担った地域であった。多くの戦跡からは、いまも地域に生きる人びとの思いや暮らしを通じて、戦争や「平和」の意味を学ぶことができる。

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「NPO法人」では、ゆたかな地域社会(コミュニティ)の創造を理念に、安房にある自然遺産や歴史的な文化遺産を保存・活用する活動の一環として、ガイド事業を中心に取り組んでいるが、この事業では私たちに誇りと喜びをもたらしてくれただけでなく、この地を訪れる人びとに共感を与え、足もとにある自分の住む地域を見つめ直し、学ぶ楽しさを知るきっかけとなったとの声が多数寄せられている。安房を舞台にしてお互いが交流し発信しあえる、地域社会のネットワークが広がっていく可能性を感じる。


地域という足もとから自然的環境や歴史的環境を見つめ直し、先人の生き方や知恵を学ぶことで、「平和・交流・共生」を育むゆたかな地域社会の創造を実現する場として、安房地域全体を視野に入れた「ミュージアム構想」を描いている。


【(5) 『安房・地域まるごとミュージアム』構想を考えるために】

「エコミュージアム」という言葉がある。1971年にフランスで提唱された従来の博物館とはまったく違う新しい概念をもって構想された博物館の姿である。それは地域文化の再生という認識をもって、地域全体を視野に入れた地域博物館構想といわれる。


私は、この「エコミュージアム」概念を援用して、安房地域の特性を表した「平和・交流・共生」というテーマ性をもつ「ミュージアム構想」を将来へむけて「NPO法人」が描く「地域づくり」活動の筋道にしていってはどうかと提案している。


「ミュージアム」を通じて、地域の自然環境、文化・産業・戦争遺跡などの文化遺産に触れながら、地域のもつ自然的歴史的な特性を学ぶとともに、地域に生きる人びとの平和の思いや生活の知恵などを次代の子どもたちに継承していく舞台にしたいと思っている。そのねらいは、①自然的環境や歴史的環境を学んで、地域にある貴重な自然遺産や文化遺産を保存し、活用を図って、後世に伝えていく。②地域の特性をよく認識、理解し、市民が主役になって調査研究や運営にあたる。③調査研究や保存活動を「ミュージアム」を通じて、市民が主役となる「地域づくり」に生かしていく、としている。


また、この構想では「市民による、市民のための、市民が主役となる地域づくり」を理念に、①地域の特性を踏まえた「平和・交流・共生」というテーマをもった視点で、地域の人々の暮らしや生活文化などを生かしていく。②運営・活動の中核となる既存の博物館などの施設を活用し、自然・文化遺産や地域環境の情報を収集し発信する地域の人々にとっての拠点とする。③これらを有機的に結びつけていく研修・学習見学コースは、地域の活性化にも繋がっていくように設定する、と考えている。


そして、房総半島南部の安房全域を「ミュージアム」の活動範囲とし、現在ある「博物館」やその関連施設をはじめ、地域の特性をもった「テーマ拠点施設」などは中核施設と位置づけ、「ミュージアム」の核としていく。なかでもとくに「テーマ拠点施設」では、自然環境や文化・産業・戦争遺跡などの遺産などをより有効に学ぶために、分かり易い説明ができるガイドや案内板を研修・学習見学コースに配備して、地域の特性がよく認識され、地域理解が深まるようにする。核となる拠点施設が市民たちが主役となる学びの場であったり、交流の場になるだけではなく、とくに他の地域から訪れる見学者たちの有意義な研修や学習の場となるように企画・運営し、施設設備の充実などを図る。また他の地域の学びの場とネットワークされることで、研修や学習の成果が広がっていくように働きかけていく。


なお、文化行政の面では、文化財保存の観点で連携をとったり、「地域づくり」では地域の活性化の面で協働事業をすすめ、地域の人びととの繋がりを重視し、地域にあるコミュニティ活動と連携しながら、市民を主役にした「地域づくり」活動として展開させる。地域振興の面でも、社会貢献を求めている地元企業などと提携したり、子どもの学習の場である学校を「地域に開かれた文化センター」としての役割を重視して、さらには地域の人々が主役となって「地域づくり」に参画できるような自治体からの支援や情報提供をうけるようにしたい。


【(6) 構想実現の第一歩を館山地区から】

2005年度は、まず館山市館山地区を舞台にして「ミニ」の「地域まるごとミュージアム」地域としてのパイロット事業を推進したいと考えている。この地区は、「赤山地下壕・沖ノ島・館山市立博物館(城山)・安房博物館」を有している地域であり、館山市のなかでも一番人口が多く、「ミュージアム」にふさわしい文化遺産や自然遺産が集中している地域である。ここに住む市民たちは、30 年来「地域コミュニティ委員会」を運営しており、この組織と協働しながら、行政とともに連携して取り組んでいきたい。案内板などのハードの面でも、多くの来訪者に対応する施設設備の拡充を市当局に要望しているところである。このパイロット事業は順次、他地域(館野地区・那古地区など)へとモデル地区を拡大させ、構想を市内全域に広げていきたい。なお、中核拠点は、赤山地下壕(豊津ホール)、沖ノ島公園、館山市立博物館(城山)、千葉県立安房博物館が、最もふさわしい「テーマ拠点施設」と考えている。

① 館山地区住民に対し、地区内にある歴史的文化財や貴重な自然資源(沖ノ島など)を楽しむ(学ぶ)ウォーキングを実施し、地域への誇りと愛着を育む。

② 赤山地下壕保存会など地元住民との連携を図り、戦時中の証言(とくに赤山周辺)を募り、戦争遺跡調査と保存を地域ぐるみで推進できる素地を熟成させる。

③ 「戦跡サークル」が中心となって館山地区に住む住民の支援をもらって「戦跡マップ」(戦前と戦時中の町並みなど)などを作成する。

④ 館山地区公民館を通じて、館山小学校において地域学習に取り組む地域の子どもたちに呼びかけて、子どもたちの「ふるさと探検隊」を実施する。

⑤ 10月に実施予定の館山地区を中心とする「里見ウォーキング」の取り組みに対して、地域住民の方々の支援や協力をお願いする。


【(7) 将来に向けた私たちNPO活動】

館山の戦争遺跡の代表である「館山海軍航空隊赤山地下壕」には、昨年4月1日の一般公開以来、約1万5千人を超える人びとが訪れている。昨年夏以来、教育委員会や文化財審議委員会では、「赤山地下壕」の調査や審議をおこなっていたが、今年1月、戦争遺跡では初の市指定文化財に認定された。「戦後50年」から10年、様々な形で保存や史跡化を訴えてきたがとうとう実を結んだ。


私たちのNPOにとっても、この戦跡の史跡化は重要な一歩となった。NPOを設立して約1年、戦跡を中心に有料ガイドに関わった団体は、延べ200団体(約4千人)となった。これは過去10年間で約6千人案内してきた地道な取り組みがベースになっているが、昨年8月の館山市との共催で開催された「戦争遺跡保存全国シンポジウム館山大会」をはじめ、多くのマスコミ報道で「赤山地下壕」などの戦跡も一緒に取り上げられたことが大きかった。しかし、最も大きな要因は、訪れた方々が戦争遺跡を通じて、地域の人びとと触れ合って学んだ平和研修や講演に感動したからであり、「平和・人権・地域づくり」に携わっている私たちのNPO活動の関心とともに、「地域の平和づくり」の思いを共感し、これらが口コミなどで広がったからだと思っている。


平和研修・環境学習(エコツーリズム)といった教育観光としてのニーズにとどまることなく、この地を訪れ、この地の人びととふれあいながら、地域の成り立ちや特性、地域の暮らしや先人の知恵など「学び知ることの喜びを共感した」という声は、今後の活動の重要なエネルギーとなった。この喜びを分かちあった人々が、それぞれの地域に戻り、足元を見つめ直すことにより各地の平和活動や地域の活性化に貢献して、ネットワークをつくるきっかけになるはずである。私たちNPOによる「平和・交流・共生」の地域づくりを学ぶために、人びとが集う「学びの地・安房」を発信地にして、全国各地に平和創造のネットワークをつくっていきたいと思っている。


現在館山市では、行政当局とNPOなどが協働関係をもって、たとえば歴史・文化を保存・活用する「地域づくり」にむかう第一歩が踏み出されようとしている。今年は「戦後60年」および「日韓友情年」にあたって、「NPO法人」では、行政当局をはじめ、地域において平和関連事業を推進してきた方々に、「平和・交流・共生」の理念が活きる地域コミュニティの連携事業を呼びかけている。そのような取り組みの積み重ねによって、少しずつ地域の人びとに「安房・地域まるごとミュージアム」構想が理解されていく契機になっていくと確信している。


【2005年の事業計画の概要】

「NPO法人」の事業を紹介する。

A.「戦後60年」〜「南房総・平和フェスティバル〜子どもたちに平和を手渡そう!」

① 平和祈念・平和美術展・「戦後60年」展・平和映画・終戦記念講演 7〜9月

② 「日米シンポジウム 〜 平和・交流・共生」 9月3日

③ 館山発 合唱組曲『ウミホタル〜コスモブルーは平和の色』初演 9月3日

④ 「日韓友情年」子ども交流事業 7月26〜29日 外務省「日韓友情年」事業認定

B.里見ウォーキング(里見ウィーク協賛)・里見まつりフォーラム 10月

C.文化事業

① 教育ソフトプログラムの開発

② NPOガイド養成学習会 (月に1回)・「戦跡保存調査サークル」(月に1回)

「里見氏の歴史を学ぶ会」 (月に1回)

③ 「もっと知りたい韓国」講座(月に1回)

④ 「たてやま食文化フォーラム」(月に1回)

⑤ 合唱団「ウミホタル」の結成(月に1回)

⑥ 「ふるさと講座」・「子どもふるさと探検隊」館山地区公民館や教育委員会と協働

⑦ ミニ講演「教育と地域づくり」と対話集会「教師と市民の〝しゃべり場〟」

⑧ 「地震シンポジウム」の開催

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